東京大会で金メダルを獲得したスナイダー。(C)Getty Images

　現地8月28日に始まったパリ・パラリンピックでは競技PRの一環としてSNSを積極的に活用し、新たな視聴者の獲得を目指している。だが一方で、その投稿内容には賛否が分かれている。 【画像】コンコルド広場を中心に繰り広げられたパリ・パラリンピック開会式の名場面を厳選ショットでお届け！ 　国際パラリンピック委員会（IPC）は前回の東京大会から新規ファン層拡大を目的に中国発祥のソーシャルメディア『TikTok（※中国版は「抖音（ドウイン）」）』に、アスリートらの競技中の動画を投稿。日本時間8月30日時点で460万人以上のフォロワーを獲得している。 　しかし、投稿された動画内でのパラリンピアンの扱いを巡って物議を醸している。 　例えば、トライアスロン男子個人（視覚障がい）のアメリカ代表で東京大会で金メダルを獲得したブラッド・スナイダーがスイムセクションを終えた後に、腕を前に出しながら自分のバイクを探している際の映像にベートーベンの音楽を乗せ、「パラトライアスロンは水泳、自転車、エアピアノ」という文言とともに投稿された。これにはコメント欄で「公式が投稿してたので笑わせてもらいました」「パラリンピックに興味を持ってもらう良い方法！」「笑って良い内容なのか」「彼がこれを見ないことを願っている」と、音楽をつけた演出に賛否が分かれていた。 　英メディア『The Telegraph』によると、これらの投稿に対して2018年平昌、22年北京パラリンピックで金メダルを獲得したスノーボーダーのブレナ・ハッカビーは「見下していて、無礼だ」と批判したとのことだ。 　IPCの広報担当クレイグ・スペンス氏は一部の投稿について、「薄氷を踏む思いだ」と話している。この大胆なメディア戦略に一部批判が集まっていることは承知している一方で、「反発のほとんどが障がい者ではなく、非障がい者によって引き起こされたものだ」と主張。「パラリンピアンに話を聞くと、彼らは素晴らしいユーモアのセンスを持っている。だから、パラリンピックのTikTokアカウントは、本当にエッジの効いたものにしようとしたんだ」と決して悪ふざけではないと、理解を求めた。 　実際に同アカウントは、08年の北京大会で7人制サッカーに出場した元イギリス代表パラリンピアンのリチャード・フォックスを含む3人のチームによって運営されているという。 構成●THE DIGEST編集部