「失敗したら終わり」...反戦派ジャーナリストが恐ろしいロシア政府から「極秘逃亡」 まず発信器を外せ!
ついに脱出のとき!
誰もいないのを確かめると、クリスティーナとアリーナは通りに飛び出し、待機していたクルマに走り込んだ。わたしは黒い野球帽を目深にかぶり、2人の後を追った。荷物をトランクに投げ込み、出発した。追跡を難しくするために、近くの空き地でクルマを乗り換えた。 「緊張していて、発信機を切断して外すのを忘れていたわ」わたしは急に思い出した。 発信機には追跡装置はついていないし、わたしの電子発信機の信号はもう基地局には届いていないが、いますぐこの発信機を外すほうがいい。バッグの底を手で探り、クリームのチューブや香水の小瓶や化粧用オイルなどのなかに、あらかじめ用意しておいたペンチを見つけた。足の発信機を切断しようとした。一回目はうまくいかなかった。プラスチックの中に金属線があった。 「こん畜生!」 わたしは必死に叫んだ。 力いっぱいペンチを締めた。金属線が切れた。発信機を外し、思いきり道端に放り投げた。 「自由万歳!」 勝ち誇ったようにわたしは叫んだ。 「やったー!」 娘とクリスティーナが声を上げた。 『濃い霧の中「あと少しだ」「走れ!」...ロシア政府から幼い娘とともに逃亡する反戦派ジャーナリストを待ち受ける国境越え「最大の難所」』へ続く
マリーナ・オフシャンニコワ
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