「90年代だったら、『環と周』はボツになっていた気がします」よしながふみが「読み手としても描き手としても今が1番楽しい」と語る理由〈このマンガがすごい!2025オンナ編1位〉
進化する近年の少女漫画
――BL誌でのご活躍を経て、今は一般誌メインで執筆されていますよね。 恋愛以外の結びつきを読みたいし、描きたいと思ってBLの世界にいたものの、やはりラブはすごく求められるので……。試行錯誤しながら一般誌に移り、今に至ります。 ――そして再び、少女漫画誌でも描かれるようになりました。 はい。『環と周』のような作品を少女漫画誌に載せていただけて本当に嬉しいです。そもそも、編集者さんに企画の話をしたときに「面白い」と言っていただけないと、その先を描くことはできないので……。 最近は、自分の好きな「恋愛以外の結びつきを描きたい」と言ったときに「いいね」と返してくださる方が増えてきたので、安心して続きが描けるようになりました。90年代だったら、『環と周』はボツになっていた気がします。 ――恋愛至上主義の雰囲気が弱くなった、ということでしょうか? 読者としては、王道ラブストーリーがありつつも、それ以外の物語も増えたように感じますね。それに、恋愛モノも雰囲気が変わったような気がします。 読み手としても描き手としても、今が1番楽しいです。 ――次の作品はどんな物語を描くのでしょうか? 芸能界を舞台にした連載を準備中です。前々から予定していたのですが、コロナ禍の影響でなかなか取材ができなかったんです。ようやく着手できるので、ワクワクしています。 ※本記事は2023年10月23日に公開されたものに加筆・修正して、新たに公開したものです インタビュー前編|【漫画あり】「男女における『わかりやすいすれ違い』は、もう描かなくていい」漫画家・よしながふみが”16年寝かせた”最新作で変えたもの 文・インタビュー/嘉島唯
環と周(集英社)
2023年10月23日発売 748円(税込) B6判/224ページ ISBN:978-4-08-844839-8 環は仕事の帰り道、空き地で娘の朱里が同学年の女の子・則本さんとキスをしているところを目撃してしまう。帰宅して夫に相談するが、夫は思うところがあるようで…。実は、夫も朱里と同じ中学3年生の時に同級生の男の子を好きになった事があった――。 わたしたちの間に存在する、様々な“好きのかたち”を描く珠玉のオムニバス連載。
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