<日本一を目指して>仙台育英 支える仲間たち 出場校のプラカード揮毫 優勝願い一筆入魂 書道部「お互いに頑張ろう」 /宮城
高校生たちにとって「甲子園」は野球だけではない。「書の甲子園」。この愛称でおなじみの国際高校生選抜書展(毎日新聞社、毎日書道会主催)で、仙台育英の書道部は昨年度、創部29年にして団体の部で初の全国優勝を果たした。今年度は惜しくも全国優勝を逃したが、5年連続10回目の東北地区優勝に輝いた。 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 地区優勝校は選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)の開会式で掲げられる出場校名プラカードの文字を揮毫(きごう)するのが恒例だ。 仙台育英の書道部が第92回大会で揮毫するのは母校の仙台育英、鶴岡東(山形)、山梨学院(山梨)の3校。全国10地区の中で今回、母校の揮毫がかなうのは仙台育英と倉敷商(岡山)の2校だけだ。 「めったにない機会。今しかできないことなので挑戦してみようと思った」と話すのは2年、大宮望依瑠(のえる)さん。山梨学院を担当する。仙台育英を揮毫する2年、岡崎聖令(せいら)さんは「甲子園で自分の書いた字を見たいし、みんなにも見てもらいたい。やっぱり甲子園には行きたいよね」。1年、遠山詩穏(しおん)さんは初めてのプラカード揮毫に「『得がたい機会』という先生の言葉に書いてみようと思った」と語り、鶴岡東を記す。 書道部は文化系の部活動ながら、納得のいく作品づくりのため合宿を繰り返す。自分なりの表現を見つけようと、悩み、自分自身を見つめ、夜通し書き続けることもある。部員たちは一筆入魂の気概で書に挑む。 書道部顧問の渡辺章紀教諭(46)は「昨年度に優勝し、昔と違って全国で評価していただけるようになった。そして更に必死で頑張って、つかみ取った東北地区優勝があるからこそプラカードを書かせていただける。本当に得がたい機会です」と評価する。 負けず嫌いが多いという書道部員。揮毫する3人は「書の甲子園で優勝に返り咲きたい。それが一番の願い」と口をそろえる。「やるからには上を目指さないなんて、部活動をやっている意味がない。やるしかない」と決意は固い。 野球部員とは授業のコースが異なるため、学校生活での接点はあまりないというが、「野球をやっているところはかっこいいし、試合に勝ったらうれしい」。野球部への応援メッセージは「優勝目指して、お互いに頑張りましょう」だ。【大谷麻由美】