韓国「SKグループ」会長が泥沼離婚訴訟で完敗…韓国離婚訴訟史上最高の賠償金額と、財閥家の「政経癒着」が明らかに
第六共和国時代の「政経癒着」を認定
これまでの韓国財閥の離婚訴訟と異なり、崔-盧夫婦の離婚訴訟の賠償額が1兆ウォンを超える理由について、2審の裁判所は次のように説明している。 まず20億ウォンに達する慰謝料を算定した背景について、「婚姻関係破綻理由と期間、盧館長(盧素榮)の精神的苦痛、崔会長の態度などを考慮した」と明らかにした。特に崔会長が「有責配偶者」である点を明確にし、関連行為を逐一指摘しながら激しく叱責した。 裁判所は、これまでの崔会長の主張とは異なり、崔会長が同居する女性・金氏の離婚にも関与したと見られるとし、「結婚生活を尊重していたなら絶対にありえないことだ」と嘆き、さらに、「盧館長との婚姻関係が解消されていないにもかかわらず、金氏と公開的活動を持続し、あたかも類似配偶者の地位にあるようにふるまった」、「このように相当期間不正行為を持続し公式化するなど、憲法が保護する一夫一婦制を全く尊重しなかった」と叱責した。 また、2019年2月から盧氏のクレジットカードを停止させ、1審判決以後には生活費支援も中断させたこととは対照的に、同居する金氏のために財団を設立し、少なくとも219億ウォン以上を支出し、漢南洞に住宅を建てて無償で住まわせたことに対しては、「崔会長は少なくとも十数年間、このような態度と行為を通じて盧館長の配偶者としての権利を顕著に侵害した。このような持続的かつ故意的な行為による損害は賠償されなければならない」と示した。 1兆3800億ウォンに上る財産分割においては、1審では分割対象として見なかったSK株を「分割すべき財産」と判断した。 2審裁判所は、「SKの価値増加に被告(盧氏)の寄与があると見なければならない。(崔会長の)SK株は婚姻期間に取得されたものであり、上場やこれにともなう株式の形成などに関しては1991年頃盧泰愚大統領から原告(崔会長)の父親に相当な資金が流入したと判断する。この他にも(盧泰愚大統領の)無形の貢献があったと判断する」と説明した。 裁判所の判断の根拠は、盧氏が提出した盧大統領の秘密資金に関するメモ帳だ。盧大統領の夫人の金玉淑(キム・オクスク)氏は、1998年4月と1999年2月に盧大統領が造成した秘密資金を記載したメモ帳を作成したが、ここに「鮮京300億ウォン」と書かれているという。盧素栄氏はこのメモ帳とともに50億ウォンの約束手形6枚を証拠として裁判部に提出した。 これに対して崔会長側は、「秘密資金を受け取ったことはなく、盧大統領の退任後、活動費を支援するために(担保として)渡した手形」だと主張した。だが、裁判所は、SKグループが証券会社を買収し、崔会長の父親がSKの株式を買い入れるのに、盧泰愚大統領の秘密資金が使われたという盧氏側の主張を受け入れた。 現在のSKグループがなるまで、「(盧泰愚大統領の)無形の貢献があった」という裁判所の判断は、SKグループが第六共和国時代、大統領の姻戚の家として韓国政府から莫大な恩恵を受けてきたことを意味するものだろう。結局、この2審判決は、韓国人の間で公然と噂されていた第六共和国時代の政権とSKグループとの「政経癒着」を裁判所が公式に認めた格好となった。