【F1】トヨタガズーレーシング、ハースと提携 車両開発＆ドライバー含めた人材育成、15年ぶりF1に関わる
◆契約期間は複数年
トヨタガズーレーシング（TGR）は11日、ハースF1と公式テクニカルパートナー契約を結んだと発表した。期間は同日からの複数年。車両開発における提携に加え、ドライバーを含めた人材育成が目的という。トヨタは2009年いっぱいでF1から撤退しており、関わるのは15年ぶり。「モリゾウ」こと豊田章男トヨタ会長（68）は「心のどこかでずっと悔やんでいた。子どもたちに夢と希望を与えることが第一」と熱く語った。 （田村尚之） 今季から平川亮をマクラーレンF1にリザーブドライバーとして送り込み、宮田莉朋をF2に参戦させるトヨタが、F1との関係をさらに深めた。ハースとの提携では、時期は未定ながら、社内エンジニアや育成ドライバーのF1テスト走行参加も打ち出した。 富士スピードウェイに隣接するルーキーレーシングでの会見には、トヨタ自動車GRカンパニーの高橋智也プレジデントも出席。「『トヨタF1復帰』ではありません。ハースと、若手ドライバーの人材育成および車両開発分野における業務提携に合意した」と説明した。人材育成にはエンジニアやメカニックも含み、ハースが強みとするデータ解析を学び、市販車の開発に生かすという。
◆一番速いクルマに
モリゾウはドライバーに寄り添う。「F1は世界最高峰のモータースポーツ。みんな『世界で一番速いクルマに乗りたい』と思っているが、私はF1をやめた人。F1への思いを素直に話せず、ピットには『わだかまり』がずっとあった」と語り出した。自らステアリングを握ることでドライバーと気の置けない関係を築いてきたが、F1に関しては微妙なしこりが残っていた。 社長時代の2009年に下したF1撤退の決断は、経営判断として間違っていない自負はある。それでも、「撤退により日本の若者が『一番速いクルマ』に乗る道筋を閉ざしてしまったことを、心のどこかでずっと悔やんでいた」と明かす。そんな後ろめたさを、今回の提携で払拭できた。 交渉は今年2月から。TGRの加地雅哉モータースポーツ担当部長／技術室長と話し合いを進めたハースの小松礼雄代表は「お互いの強い部分、足りない部分を話し合い、一緒にやっていけるという信頼関係が築けた」と振り返る。6月のF1カナダGP前にモリゾウと初対面して意気投合し、とんとん拍子で話が進んだ。TGRはものづくりの技術を生かし、ハースの部品製作をサポート。「互いにメリット」がある関係だ。 今回は人と技術を磨く提携に限定。将来的なパワーユニット（PU）提供には触れなかったものの、トヨタがF1へかじを切った。
中日スポーツ
