「15年後に、この100万円が6000万円になれば…」パチンコからビットコインに乗り換えたコワモテ看護師の人生設計
■ 「ケア労働」にストレスをためたおじさんのはけ口 Jさんが看護師になったのは、30代後半になってからのこと。 「20代のころは工場や工事現場、トラックのドライバーなどの現場仕事をしていましたが、どれも肉体的にしんどくて。その後は調理師免許を取って、ファミレスの社員として厨房で働きましたが、朝から晩まで拘束されるのに、給料は手取り25万円くらいでした」 医療なら給料もよく、これからの高齢化社会で食いっぱぐれないだろう。そう考えたJさんは、おじさんになってから看護学校を卒業した。あれから12年。Jさんは仕事が好きではないという。 「初めの2~3年目は人のためにという気持ちがありましたが、今はない。生活のためにやっています」 看護学校で知り合った妻と、小学生の子ども二人。手取り年収は380万円、住宅ローンと高級時計のローン……。Jさんの愚痴は止まらない。 「看護師をしている人って、2パターンにわかれますよ。人に尽くしたい意識高い人か、お金のために仕方なくやる人」 入院病棟で働いているJさんは、仕事でかなりのストレスをためている様子。 「ひどい患者は看護師をバカにしている。女性看護師は患者からセクハラされるし、男性看護師は患者に暴力や暴言を受ける。こっちだって頭にきて『うるせぇ、クソ爺ぃ』って患者に言うこともあります。もちろん問題にならない範囲でこっそりとね」 患者からのセクハラやカスハラ(カスタマーハラスメント)は、看護師を悩ませる労働問題の一つだ。ある調査では、看護師の97%が「患者からカスハラを受けた経験がある」と回答している。 看護師のようなケア労働は「感情労働」である。患者のむき出しの感情を受け止めつつ、「怒り」や「悲しみ」を押し殺さなければならない。そこでは個人の「人格」というリソースが消費されていく。しかし、このリソースの対価はほとんど給料に反映されない。 蓄積されたストレスはどこかで爆発する。Jさんの場合、それはパチンコで解消されていた。 「貴重な休みの日も、体を休めることもせず、子どもの相手もせずにパチンコにのめりこんでいた。熱くなっちゃって、1回3~4万円は使ってね」 もっとも、この1年でパチンコ熱は冷めた。その代わりに彼の心をとらえているのが、ビットコインである。