日本郵船、ESGの発信基地に。森林再生「ゆうのもり」開所
日本郵船は14日、静岡県御殿場市で手掛ける森林再生プロジェクト「ゆうのもり」のオープニングセレモニーを現地で開催した。同プロジェクトは、森林の回復で水源涵養(かんよう)機能を強化して海洋環境の保全につなげるという「海への恩返し」をコンセプトに始動。郵船グループの社員が自ら森林整備を手掛ける点が特徴だ。曽我貴也社長は顧客のサプライチェーンをつなぐ郵船グループの生業に触れ、「命のつながりを感じられるこの地をESG(環境・社会・企業統治)の大きなチェーンの発信基地にしたい」と力を込めた。 開所式には郵船の長澤仁志会長、曽我社長、河野晃副社長、筒井裕子執行役員・ESG戦略副本部長、御殿場市の勝又正美市長らが参加した。 長澤会長が冒頭あいさつし、「きょうの開所は御殿場市などの関係者の皆さまと当社ESG経営グループの努力の結晶だ」と強調。その上で「当社は経営の中心にESGを置いており、郵船グループとしてこの地をより豊かな生態系を持つ森にしたい。社員らが憩える、また御殿場市の子どもたち、皆さんがいろいろな形で活動できる場所にしていきたい」と話した。 続いて勝又御殿場市長があいさつした後、プロジェクトマネージャーを務める郵船ESG経営グループサステナビリティイニシアティブチームの間庭浩調査役が今後の計画などを説明。今秋から来春をめどに御殿場市民をボランティアとして受け入れる方針を示し、「気合いを入れて市民の皆さまに愛される森をつくり上げたい」と意気込みを語った。
その後、集まった約70人の関係者を間庭氏らが「ゆうのもり」に案内し、古民家や管理棟などの各施設も紹介。ツリークライミングのパフォーマンスや植樹式も行った。 終わりに曽我社長があいさつし、「100年、200年と生きる樹木があり鳥やチョウが飛ぶこの地は、自然と共に命がつながっていることを感じられる場所だ。これを社員とその家族、市民の皆さんに体感いただきたい。顧客のサプライチェーンをつなぐのが生業のわれわれにとって、命のチェーンを守る活動も日々の取り組みの延長だ」と語った。
日本海事新聞社