背中に白矢印模様の猫が「こっち」と帰り道を教えてくれた

　こんにちは。世界を旅する犬猫写真家、新美敬子です。今回はメキシコ有数のリゾート地カンクンのダウンタウンで出会った猫たちを前後編に分けてご紹介します。 【猫写真18点】これが背中に白い矢印が浮かんでいる猫。ホテルへの帰り道を教えてくれた 　カンクンでは特徴的な柄の猫に続けて出会いました。背中の中央部分だけ白くなっている模様は、日本でも海外でも滅多に見かけません。 　さらに2匹。左奥の猫は、1つ前の写真とは別の猫です。 　猫の気配は感じるんだけど…。どこにいるかわかりますか？　 　ここにいれば見つかりっこないと思っているのか、余裕の表情でこちらを見下ろしていました。

　珍しい柄のステキな猫がいました。「三毛に決めたけど、やっぱりシマシマ模様が可愛いかな？　　でも、スポッテッド（斑点）にしてやろう」と、優柔不断な神様が悩んで模様が決まった、そんな経緯を想像してしまいました。 　日陰で寝ていた猫が日向にゆっくりと出てきて、ドスンと横になりました。ゴロゴロと喉を鳴らし、前足は小さくグーパー。「暑いけど、やっぱりお日様が好き」と言っているようでした。 　カンクンは、メキシコ・ユカタン半島北東部にある、カリブ海に面した有名なリゾート地です。近くにマヤ文明の遺跡があり、観光地として高い人気を集めています。リゾートホテルや別荘などがたち並ぶ珊瑚礁に面したエリアのほかに、地元の人々が暮らすダウンタウンがあります。今回はダウンタウンを歩いて猫を探します。 　はっきりとシマシマ模様が出ているきれいなトラくん。口の上のぷっくりとしたところ、ヒゲの生えている部分に注目。「ここから生えているのがヒゲですよ」と教えてくれているような、黒い小さな点々が粋です。

　スーパーマーケットの裏口付近にいた猫は、シュッとしたたたずまいでした。話しかけても、耳を動かすだけでこちらを見ようとしません。左奥では子猫がこちらの様子をうかがっていました。 　公園にいた2匹の犬が駆け寄ってきたので、写真を撮ろうと中腰のまま後退りすると、犬たちはますます迫ってきます。公園にいたおじさんによると「初めて見る人が不思議な動作をしたので、なんだろうと心配して近づいただけ。でも、いまこうしてわたしと話しているので、彼らも安心したさ」。 　家の前で横たわっていた三毛。キュートな小顔ですが、ボディはけっこうふくよかでした。 　背中に白い矢印が浮かんでいるこの猫には、助けられました。 　カンクンのダウンタウンは道に迷いやすく、不思議なことに同じ場所に戻ってしまうのです。その場所にいつもいてくれたのが、この猫でした。「あなたの帰るところはこっちですよ」と、ホテルの方向を向いて、帰り道を教えてくれた恩は忘れません。