【妊娠糖尿病】一度なったら繰り返すの? 出産後の治療は? 育児で気をつけること
妊娠糖尿病の治療はどのように行うの? 産後の管理も教えて!
編集部: 妊娠糖尿病はどのように治療するのですか? 川名部先生: 妊娠糖尿病の治療は主に食事療法・運動療法・薬物療法に分かれます。まずは食事療法を行う場合がほとんどで、運動療法は、運動しても問題ないかを産婦人科医に確認しながら取り入れ、さらにそれでもうまくいかない場合に薬物療法(インスリン療法)が検討されます。 編集部: 妊娠糖尿病の食事療法について教えてください。 川名部先生: 妊娠中に極端な食事制限をすると胎児の発育が抑えられてしまうため、適正なエネルギー量を摂取して母体の健康維持および胎児の発育エネルギー量の確保と適切な栄養配分を行うことが重要とされています。また、妊娠中の血糖変動の特徴として、空腹時は低血糖になりやすく食後は高血糖になりやすくなります。このため、妊娠中の食事療法としては分割食がよいとされています。規則正しい3食の食事の間にビスケットやヨーグルトなどの捕食を少しとることで、妊娠中の血糖変動を緩やかにすることが可能となります。 編集部: 産後はどのようにしたらよいでしょうか? 川名部先生: 無事に出産されてから1~3カ月後に血糖が正常の状態に改善しているか、ブドウ糖負荷試験にて確認します。ほとんどの患者さんは正常な血糖に戻っているのですが、先ほども解説したように一部境界型糖尿病や糖尿病と診断される人もいるため注意が必要です。にもかかわらず産後の検査の受診率は低く、2回目の受診率は30%という調査もあるほどです。無症状であることに加え、育児の多忙さや病識の低さが原因とされていますが、そのまま糖尿病が放置されると合併症を引き起こす可能性もあるため、ぜひ検査を怠らないでいただきたいです。 編集部: 1回目の妊娠で妊娠糖尿病になったら、2回目の妊娠時もなりますか? 川名部先生: 第1子の時に妊娠糖尿病になった人の41%くらいは第2子の妊娠時にも妊娠糖尿病になるというデータがあります。半数弱の方が2回目も糖尿病になるということですね。もちろん、第1子の時はなんともなく2回目で妊娠糖尿病になった人もいますので、どんな妊婦さんでも注意が必要です。また、ほかのリスクと同様に年齢とともに増える傾向にもあります。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 川名部先生: 何の症状もないのに検査で「糖尿病」と言われてしまい、不安が強くなってしまう人は結構いると思います。ですが、妊娠糖尿病はしっかり治療すれば問題なく元気な赤ちゃんを産むことができると言われています。放置が一番危険なので、産婦人科で指摘されたらきちんと検査を受けましょう。これは産んでからも同様で、育児はとても大変だとは思いますが、自分の体のケアも忘れずに大事にしてあげてください。