FRBの利下げ転換で「リート見直し買い」の展開へ ~2024年〈グローバル・リート市場〉の展望【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】
2. 24年の世界景気は底堅く推移、日本を除き世界的に金融緩和局面へ
■24年の投資環境は、リート市場にとって追い風となりそうです。インフレの減速を受けて、米欧をはじめとした世界の中央銀行が金融緩和姿勢に転換し、利下げ局面に入るとみられるためです。また、弊社は、24年の世界経済の成長率見通しを前年比+3.0%と、23年と同様に底堅く推移すると想定しています。 ■24年の米国経済は、これまでの利上げの累積効果から緩やかに減速するものの、雇用が安定していることから、景気は底堅く推移する見通しです。インフレが減速傾向にあるなか、FRBの適切なタイミングでの利下げによって景気後退(リセッション)入りは回避され、ソフトランディングに至ると見込んでいます。 ■米国景気のソフトランディングは、各国・地域の需要を支え、24年の世界経済は底堅く推移すると見込んでいます。中国景気が減速するものの、欧州(ユーロ圏)は財政支援などから景気腰折れを回避すると見込んでいます。日本の景気については、インバウンド消費の持続、物価上昇圧力の緩和、賃金の上昇などにより、回復基調を維持すると想定しています。 ■弊社は24年の金融政策について、景気とインフレの減速を受けて、FRBが5月以降、概ね四半期に1度のペースで0.25%の利下げを行うと想定しています。 ■米国の利下げはグローバルな中央銀行の緩和余地を生み、24年はグローバルな利下げ局面が見込まれます。弊社は、ECBもFRB同様に、24年第2四半期以降、四半期に1度のペースで0.25%の利下げを行うと予想しています。また、世界の多くの中央銀行もFRBに追随するとみられます。 ■ただし、これまで金融緩和を続けてきた日本は他国に遅れて引き締めに動くとみられます。弊社は、日銀が3月中旬に迎える春季生活闘争(春闘)の集中回答日における賃上げ傾向の継続を確認した後、4月の金融政策決定会合で、イールドカーブ・コントロールの撤廃とマイナス金利の解除を決定するとみています。また、その後は当面、ゼロ金利政策が続く可能性が高いと考えています。
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