銅線・側溝のふた・橋名板…金属窃盗が急増中 価格高騰で売却目的か、銅は5年前の2倍に 警察庁が対策チームも
広島県内で銅線などの金属製品を狙った窃盗の被害が相次いでいる。1~8月は164件で、県警が統計を取り始めた2020年以降で最多だった昨年を上回るペースで推移。銅などの価格高騰を背景に売却目的で盗んでいるとみられ、県警が警戒を強めている。 広島県内の金属窃盗の被害件数グラフ 県警によると、金属窃盗の認知件数は20年は74件だったが、年々増加。23年は245件で20年の3・3倍に上った。工事現場から銅線が盗まれたり、スチール製などの側溝のふたが持ち去られたりするケースが目立つ。 近年は橋の欄干に取り付けられた橋名板の被害も後を絶たない。広島、山口県警は庄原市西城町で4枚(計12万円相当)を盗んだとして8月、男女2人を窃盗容疑で逮捕。2人は「売却目的だった」と供述したという。昨年以降、広島、山口県の山間部を中心に約100件の被害を確認し、両県警が関連を調べている。 県内の金属買い取り業者は「いろんな金属の買い取り価格が上がっている」と明かす。中でも、銅は5年前は1キロ当たり約600円だったが、現在は約1200円と2倍に跳ね上がっているという。 県警捜査3課は「価格が高騰する中で、売却目的の窃盗が増えている可能性がある」とみる。金属窃盗は関東地方を中心に全国的にも増加傾向にあり、警察庁は対策チームを立ち上げ、摘発強化や被害抑止に力を入れている。 広島県は条例で、買い取り業者に取引相手の本人確認を義務付けており、県警は盗品が疑われる場合の通報を呼びかける。県警生活安全総務課は「工事現場などでは金属製品は屋外に放置せず、防犯カメラを設置するなど、被害に遭わないための対策をとってほしい」としている。
中国新聞社