【ソウル＝桜井紀雄】韓国南西部の務安（ムアン）国際空港で29日、乗客乗員181人を乗せたチェジュ航空機が着陸中に滑走路を離脱して壁に激突、機体が炎上した事故で、空港の管制塔が着陸直前にバードストライク（鳥類の衝突）の注意を呼びかけていたことが分かった。韓国国交省が同日、明らかにした。 聯合ニュースによると、事故機は29日午前9時（日本時間同）ごろ、着陸時に使う降着装置（ランディングギア）が降りない状態で、胴体着陸を余儀なくされ、十分に減速できないまま、外壁に衝突したもようだ。 国交省によると、着陸直前に空港の管制塔がバードストライク（鳥類の衝突）の注意を呼びかけていた。同機はその警告直後に遭難信号を発信。数分後に事故が起きた。当局は、バードストライクが事故の原因となった可能性もあるとみて調べている。 消防当局は乗員の男女2人を救助した一方、177人の死亡を確認した。残る不明者の確認を進めている。 韓国国土交通省などによると、乗客は175人。国籍は韓国が173人で、タイが2人とされ、日本人の搭乗者は確認されていない。 機体後方から2人が救助されたが、乗客の多くが衝突の際、機体外に投げ出されたとみられる。機体は原形をとどめないほど大破し、焼損した。 弾劾訴追された尹錫悦（ユン・ソンニョル）大統領と韓悳洙（ハン・ドクス）首相の権限を代行する崔相穆（チェ・サンモク）経済副首相兼企画財政相は、緊急会議で対応に総力を尽くすよう指示した。