ステーブルコイン、飛躍の年となるか? 超えるべき大きなハードルとは──河合健弁護士【2024年始特集】
きわめて難解な法制度
──メディアもそのあたりを十分に区別できていない面がありますね。 河合:現状があまりにも複雑すぎます。きわめて難解な法制度になっています。ユーザー保護を優先しながら、何とか実現したという側面が強いのだと思います。ただ法律の文言は複雑ですが、やることはシンプルです。ビジネス的には、前述したクロスボーダー決済やセキュリティ・トークン(デジタル証券)の決済、NFTプラットフォームでの決済などの相談が多くなっています。 あるいは、暗号資産交換業者が決済ペアの1つとしてラインナップしたいというニーズです。時価総額で考えると、ビットコインやイーサリアムが上位ですが、1日あたりの取引高を考えると、おそらくUSDTが最も多く、USDCもビットコインやイーサリアムに近い数字になっています。決済ペアとしては非常に魅力的で、今後もニーズが高まっていく可能性があります。 もう1点、これまでの話とは別の視点として、現状、QRコード決済のデフォルト的存在になっているPayPayの対抗馬になり得るかどうかという議論もあります。 ──対抗し得ると思われますか。 河合:PayPayがドミナントな存在でなければ、面白い勝負になったと思います。ですが、ドミナントなものは便利で、みんなが使っています。ユーザーにとっては「便利かどうか」が大切で、PayPayはPayPayの加盟店でしか使えませんが、ステーブルコインにはそうした枠はありません。理論的には、より広く使えるメリットがありますが、デメリットとしてはウォレットが必要になることです。店舗側に対応を求めることになり、そこまでしてPayPayに対抗する事業者が出てくるかどうか。 プロダクトとしては、潜在的にはメリットがあります。ですが、物事はそれだけでは決まりません。そうしたことを考えるとクロスボーダー決済は問題だらけなのでステーブルコインが普及する場としては有望です。現在の銀行間の国際送金は、手数料は高いし、送金から着金まで日数もかかりますから。