村上春樹「僕は『アフターダーク』という小説の中でこの曲を登場させています」安井かずみが歌詞を書いたアダモ「雪が降る」に言及
◆越路吹雪「ラスト・ダンスは私に」
次は岩谷時子さんの訳詞家時代の作品を聴いてください。岩谷時子さんは2013年に97歳で亡くなっています。音楽には関係ないことですが、僕と岩谷さんは同じ小学校に通っていました。兵庫県西宮市の浜脇(はまわき)小学校というところで、僕も1年生から3年生までここに在校していました。岩谷さんは神戸女学院を卒業後、宝塚歌劇団出版部に就職され、そこで歌劇団の機関誌の編集をしておられました。 そして新人として入団してきた越路吹雪さんと個人的に仲良くなり、越路さんが独立してからはその付き人を、のちにはマネージャーをつとめ、越路さんが1980年に56歳で亡くなるまで、その密接な関係が崩れることはありませんでした。 当然のことながら、越路吹雪さんの歌につけた歌詞も数多くあります。いちばん有名なのは「愛の讃歌」ですが、今日は「ラスト・ダンスは私に」を越路吹雪さんの歌で聴いてください。越路さんの歌声と、歌詞の言葉の響きがよく合っていますね。 「ラスト・ダンスは私に」はアメリカのドゥワップ・コーラス、ドリフターズがヒットさせたアメリカ製の歌ですが、フランス人のダニエル・ダリューがフランス語で歌ったバージョンが日本ではよく聴かれていました。だから元歌はシャンソンだと思っている人も多いですね。子ども時代、うちにもダニエル・ダリューの歌ったこの曲のシングル盤がありました。 (TOKYO FM「村上RADIO~安井かずみと岩谷時子の世界~」2024年9月29日(日)放送より)