ベーシス取引、想定より著しく少ない可能性-FRB調査スタッフ分析
(ブルームバーグ): 米国債の現物と先物との価格差を利用し、利益を得る「ベーシス取引」に対し、規制・監督当局の厳しい目が注がれているが、米連邦準備制度理事会(FRB)の調査担当者は、投じられる金額は一般に想定される3分の1程度に過ぎない可能性があると指摘した。
調査担当者らは新たな手法を駆使し、1月時点で最低3170億ドル(約46兆8500億円)相当の証券がベーシス取引に関係していたと推定した。3月8日の報告書によると、米商品先物取引委員会(CFTC)が集計するレバレッジドファンドの米国債先物ショートポジションを用いる従来の手法では、9910億ドルと推計された。
ジョナサン・グリコース氏とベンジャミン・イオリオ氏、フィリップ・モニン氏らが執筆した報告書は「ベーシス取引の量はこれまで見える度合いが限られていた」と分析。新たな評価基準を見る限り、推定される金額は「レバレッジドファンドの米国債先物ポジションだけが示唆するより著しく小さい可能性が高い」という。
米規制・監督当局はベーシス取引の重要手段として用いられるレポ取引(現先取引)について、2026年半ばまでにセントラル・カウンターパーティー・クリアリングハウス(中央清算機関)への移行を義務付ける方針だ。
新たな手法はヘッジファンドの規制・監督当局への届け出と、債券価格報告システム、トレースの米国債現物取引データセットを用いる。前者はベーシス取引ポジションの代用になるレポ取引のネットエクスポージャーを明らかにするという。
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原題:Fed Says Basis Trade ‘Significantly’ Smaller Than Estimated(抜粋)
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Elizabeth Stanton