立候補者不足で「誰でも議員になれるまち」続出? 町議選で土壇場の「数合わせ」、再選挙になった村も
無投票に終わった京都府笠置町議選(定数8)は、10月15日の告示まで1週間に迫っても、立候補予定者が定数より3人も足りなかった。立候補者不足による府内で初めての再選挙となる可能性があった。再選挙ってなに? 立候補者がいなかったらやり直すってこと? 聞き慣れない言葉に戸惑った。 【画像】笠置町はこんなところ 調べると、直近では2018年に群馬県の昭和村議選で、欠員が6分の1を超え再選挙となった例があった。村に当時のことを尋ねた。 昭和村議会は定数12で、18年まで、過去5回の選挙で無投票や定数割れはなかった。18年に限っては9人しか立候補者がなく、19年1月の再選挙で男女3人が立候補して無投票当選した。4年後は選挙戦となった。 どうして18年だけが再選挙になったのか-。過去の候補者を見ると、現職と新人がほぼ半分ずつの選挙が続いてきたが、18年は新人が少なかった。昭和村の担当者は「現職が引退するときに後任を立てられず、地域の議席を守る人がいなくなった」と振り返る。 昭和村の人口は10月1日現在で7010人。昨年度の高齢化率は34・8%。対して笠置町は1083人で、最新の高齢化率は55%を超え、状況は笠置町の方が深刻だ。 笠置町議選を終えて、「再選挙ではなくてよかった」とは思えなかった。最終的に現職の家族らが手を挙げ、新人3人が立候補したが、「土壇場の数合わせ」の印象は否めなかったからだ。告示日に歩き回った町内は、信じられないほどにひっそりとしていた。「高齢化しているから仕方ない」とつぶやく住民の声もあった。「誰でも議員になれる町」の心もとなさを感じてならない。 近年、投票率は下がり、住民と政治との距離感は開く一方で、人口減や高齢化、なり手不足はどの自治体も抱えている問題だ。同様の議会は今後増えるのではないか。笠置町はある意味「最前線」だ。このまま突き進んで行く先に未来はあるのだろうか。