金一段高を見込む市場、接戦の米選挙控え-「誰もが乗りたい箱舟」
(ブルームバーグ): 米大統領選が近代史上において特に接戦となる中、金相場が急伸している。安全資産に逃避する動きが強まっており、さらなる上昇を見込む投資家も多い。
金価格は今週、最高値を更新。年間ベースでは1979年以来の大幅高となる勢いだ。中央銀行や中国の買い手が当初の上げを主導したが、来週の米選挙を控え、需要が拡大。市場の混乱から身を守ろうとする投資家の動きが広がっている。どちらが勝利しても、金相場は上昇が続く可能性が十分ある。
ローズ・アドバイザーズのポートフォリオマネジャー、パトリック・フルゼッティ氏は「市場は不確実性がある局面で金を選好する。特に地政学的な問題に関連している場合だ」と指摘。「選挙にかけて金を保有したいと考えるのは、それが理由だ」と述べた。
勝敗の差が極めて小さいため、最高裁判所による決定が必要になると示唆する向きもいる。そのような事態には懐疑的ながらも、世論調査が拮抗(きっこう)する中で、開票結果は緊張感を伴うものになるだろうと多くが予想している。
共和党候補のトランプ前大統領と盟友らは、自らの陣営が圧倒的勝利を収める見通しだと支持者らに語っており、実際の選挙結果がそうならない場合には、長期にわたる法的係争が起こり、市場をさらに混乱させる恐れがある。
一部の投資家は、共和党によるホワイトハウスと議会の全面勝利に大きく賭けており、トランプ氏の保護主義的かつ成長重視の政策に関連するトレードはドルを押し上げている。ドル高は通常、金の妙味低下につながる。他の通貨を使用する買い手にとって割高になるためだ。実際、2016年にトランプ氏が勝利した際に、金は下落した。
不確実な選挙結果
しかし今回は、接戦ぶりがより大きな懸念材料となっており、僅差の結果となれば、投資家はドルや株式への投資を解消し、安全資産に殺到する可能性がある。
マラソン・リソース・アドバイザーズのポートフォリオマネジャー、ロバート・マリン氏は「勝者が誰か確定するのに時間がかかる場合」、金は上昇する見通しだと指摘。「勝者が明確であれば、市場から一定のリスクは消えることになる」と述べた。