APECが閉幕、首脳宣言で「自由で開かれた貿易実現」…トランプ次期政権見据え
【リマ=大月美佳、太田晶久】日米や中露など21か国・地域によるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議が16日、南米ペルーの首都リマで行われた。保護主義的な政策を掲げるトランプ次期米大統領の就任を見据え、自由で開かれた貿易、投資環境の実現に向けた協調を確認する首脳宣言を採択した。
宣言は、貿易や投資、環境などの分野で大きな変化が起きていると指摘し、多国間協力の重要性が明記された。世界貿易機関(WTO)のルールに基づく多角的な貿易体制への支持、安全で持続可能なサプライチェーン(供給網)確立を目指す考えも盛り込まれた。21か国・地域全体で貿易や投資の自由化を図るアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の構想の実現に向けた作業部会の設置も表明した。
首脳会議には、石破首相のほか、米国のバイデン大統領、中国の習近平(シージンピン)国家主席らが参加した。石破首相は終了後、リマのホテルで記者団に「ルールに基づく自由で開かれた公正で透明性のある貿易投資関係を維持強化していかないといけない」と強調した。
一方、バイデン氏と習氏による米中首脳会談が16日、リマで行われた。来年1月のトランプ次期米大統領の就任を控え、米中両国が引き続き対話を通じて競争をコントロールしていく姿勢を強調した。2国間関係のほか、台湾問題や中国が強引な海洋進出を進める南シナ海情勢について協議した。