「準優勝の悔しさを、二度と味わいたくない」。来日16年目の悲願へ、己を超え続ける“44歳守護神”の生き様|フットサル
神様がきっと守ってくれると信じている
──イゴール選手が試合で意識していることはありますか? 試合の前には、いろんな場面をイメージします。試合の時に素早く反応できるように「ここからボールが来たら、こんなプレーをしよう」と頭に入れています。 あとは試合中のカバーリングも、常に立ち位置を考えないといけません。攻撃もどのタイミングで参加するのか、いつボールが来てもいいように準備しています。パスミスをしてしまったら失点につながるポジションだからこそ、いろいろなことを意識しています。 ──集中して試合に臨むためのルーティーンは? たくさんあります。試合前にはコーヒーを飲みますし、だんだんおじいちゃんに近づいているので、去年からバナナを食べています(笑)。 ロッカールームを出る前にはお祈りをして、ピッチやペナルティエリアに入る時は右足から入ります。試合前はポストを触って、もう一回お祈りをします。 日本でルーティンをする人がどれだけいるかはわからないですが、ブラジルではけっこうみんなやっています。それをしないと自信がなくなるわけではないですが、しっかりやれば神様がきっと守ってくれると信じています。 ──8年間プレーしてきた日本代表への思いも聞かせてください。 とても特別な時間でした。もちろん、日本代表は選手としてなによりも誇りですから、入りたい気持ちはあります。国の代表としてプレーできるのはとても光栄なことです。 でも、監督やスタッフはいろんなことを考えないといけません。僕は44歳で、次のW杯では48歳。どうなっているかわからないし、まずは1年ずつ考えないといけません。 代表には入りたいし、活躍したいと思っていますが、W杯に合わせたサイクルがあって、若い選手が成長しないといけないことも理解しています。
優勝できるかどうかは自分たち次第
──浦安は首位を走っていますが、チームが好調な理由は? 毎年、スタートからいいシーズンにしたいという気持ちは同じですが、いつもはどうしても年間で波が生まれてしまいます。でも今シーズンはあまり波がありません。 戦術も体現できていて、連係して守れているのでGKも仕事がしやすい。チームとしても自分としてもいいパフォーマンスを出せて、素晴らしいシーズンを歩んでいます。 ──なぜ「波がない」状態をつくれているのでしょうか? まずは、小宮山さんの下でしっかりと練習ができているし、スカウティングしてくれたことをみんなも勉強して、試合に向けていい準備ができています。 あとは、昨シーズンと比べても活躍している選手がたくさんいます。若手で言えば晃輝は今シーズン一番成長していると思いますし、カズ(菅谷知寿)も初めて代表に選ばれました。柴山(圭吾)や空(涼介)、(吉田)圭吾もプレー時間が増えています。 活躍している選手が一人だけの状態だと、勝ったり負けたりしてしまいますが、いろんな選手が活躍することで、チームとして強くなって勝てているのかなと思います。 ──小宮山監督は、チームのみんなにどんなことを伝えていますか? 小宮山監督はすごく熱い。それは練習でも試合でも、ずっと変わりません。いつも言っているのは「毎試合、決勝戦だ」と。相手がどこであっても関係なく勝たないといけないという言葉で、全員のモチベーションが上がっています。戦術面もセットプレーや攻撃、守備もしっかり教えてくれているので、いい結果につながっていると感じています。 ──リーグ戦も終盤に差し掛かっています。今、大事なことは? とにかく、毎試合勝たないといけません。(インタビュー時には)あと5試合のレギュラーシーズンがあって、ファイナルシーズンも5試合。もちろん簡単なことではないけど、10試合勝てば優勝できます。今のところ、優勝できるかどうかは自分たち次第です。 この先も難しい試合が続きますけど、毎試合モチベーションも少しずつ上がっています。毎週一歩ずつ進んで、勝つしかありません。 ──Fリーグ優勝への思いを聞かせてください。 今シーズンで日本に来て16年目になりますが、僕はまだ、Fリーグで優勝したことがありません。準優勝は何度もあるけど、優勝はない。あと一歩のところで敗れて悔しい思いをしてきました。その気持ちを二度と味わいたくないし、絶対に喜びたいです。勝ち続けるのは簡単ではないですけど、自分たちを信じないといけません。 だから、モチベーションはすごく高い。まだ試合は残っていますけど、今シーズンは優勝できる可能性があるし、強い気持ちをもって臨んでいます。 ──過去にベスト5に9回も選出されています。これはもちろん、リーグ最多受賞記録です。節目の10回目の選出を意識していますか? 毎シーズン、開幕からいいパフォーマンスをしたいと思っていますし、年齢を重ねるごとに「もっと見せたい」という気持ちが強まっています。 プロですから当然、パフォーマンスが悪ければ次にまた契約してもらえない。若手であればチャンスをもらえるかもしれないですが、僕のような年齢の選手はどんどん難しくなる。Fリーグには素晴らしいGKがたくさんいるからこそ、その中で戦いたいし、負けたくありません。 だから毎シーズン僕は、ベスト5を目指しています。そこに入ることで今シーズンはいいプレーができたと思えるし、そこを目指すことで自分自身にプレッシャーをかけています。 もちろん、一番はチームが優勝すること。その過程でいいプレーを見せて、今シーズンもベスト5を狙いたいです。
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