つるの剛士「僕も高校生のとき万引きをした」罪深さを認識した“父親からの一言”
僕を叱らずに静かに諭した父
お店の人は、初めてということ、僕がとても反省をしていること、両親も来店して謝罪をしたことなどから、今回だけはと許してくれて、警察に連れていかれることはなく帰ることができました。 その帰り道、僕は父からはめちゃくちゃに叱られ、殴られもするんじゃないかと覚悟をしていたのですが、父は怒鳴るどころか「剛士が学校の仲間とのノリで万引きをしたのかと思っていたのに、一人でしたことだと聞いてびっくりしたよ」「剛士のことをわかっているから言うけれど、これが剛士のした初めての“悪いこと”だね。これが最初で最後だからね、二度とするんじゃないぞ」と、ただ静かに僕に言い聞かせたのです。 これには参りました。静かに諭されたことで心にしみて、逆に罪深さを認識したというか、両親の信頼を裏切ってしまったことを深く後悔し、涙があふれました。帰宅すると「これを持って、明日もう一度一人で謝ってきなさい」と、親から菓子折りを渡され、翌日お店に一人で出向き「反省しています。もう絶対しません」と頭を下げました。
怒鳴る前に、冷静に「どうして」「なぜ」を確認しよう
父はなぜあの時僕を殴り飛ばしたり、怒鳴って叱ったりしなかったのだろう……。父の心境を今、親の立場で考えてみると、少しだけわかる気がするんです。 もし僕があの時の父の立場だったら、「なんで、息子はこんなことをしてしまったんだろう」という驚きと同時に「洋服が欲しかったのかな? お小遣いが足りなかったのかな? 我慢をさせたり、気持ちを言えないような雰囲気を作ってしまったりしていたのかな?」など、いい子なのに万引きをしたのは親である自分自身に非があるのではないかと考えてしまうと思うのです。だって、やってしまったことに対して怒鳴ったって、何も解決しないし前にも進まないでしょう。 今回は僕の体験として「万引き」を話題にしました。でも“悪いこと”って大小、いろいろあると思うんです。僕のように一人で「魔がさした」ような時には、子ども自身の「なぜしてしまったのか」を静かに聞いてあげることが必要。でも、その理由を聞いたときに“いじめ”などは原因になっていないのか、子どもたちの間で「ゲーム感覚」で悪いことをするのが蔓延していないかなど、「背景」をしっかり把握することも重要だと思います。 僕自身もそうだったのですが、自分が親からとても愛されていて、信頼されているということはしっかり伝わるようにしていくことも大切なんだなと思います。好奇心やスリル、誘惑があったときに親の顔がよぎって親からの信頼や愛情を思い出すことがあれば、立ち止まることができたり、「魔がさして」ほんの少し悪いことに足を踏み入れてしまっても深みにはまることなく反省できたりするとも思うのです。
PROFILE つるの剛士(つるの たけし)
1975年生まれ。福岡県出身。神奈川県藤沢市在住。1997年「ウルトラマンダイナ」のアスカ隊員役を好演。2008にはバラエティ番組「クイズヘキサゴン」でユニット“羞恥心”を結成しブレイク。以降、音楽活動やタレントとしてマルチに活躍中。私生活では2男3女の父親。2022年には短期大学を卒業し、幼稚園教諭二種免許、保育士資格を取得。現在は大学のこども心理学部に在籍。将棋、釣り、サーフィン等特技と趣味も幅広い。@takeshi__tsuruno
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