うまいノンアルコールスパークリングワイン「フレンチ・ブルーム」が誕生。ワイン好きも納得する味わいに迫る
フランスで人気のノンアルコールスパークリングワインが日本にもやってくる。創始者とCEOに直撃した。 【写真を見る】フレンチブルームのワインをチェック！
オーガニックでノンアルコール
ヨーロッパで「ソバーキュリアス」と呼ばれる人々が増えている。ソバーキュリアスとは、「Sober（断酒）」と「Curious（好奇心）」を組み合わせた造語で、飲酒量を意識的に減らす、さらに一定時期はまったく飲まない生活スタイルのことを指す。断酒ではなく、アルコール文化への理解がある点にも注目したい。これまでの「飲んで騒ぐ」というカルチャーから距離を置き、自分らしいライフスタイルの追求から生まれたと言われている。 「フレンチ・ブルーム（FRENCH BLOOM）」は、100%オーガニックの原材料を使ったノンアルコールスパークリングワインのレーベルだ。脱アルコール処理を施したシャルドネとピノ・ノワールのワイン、レモンなどの天然素材をブレンド。着色料、保存料、亜硫酸塩、糖類は一切使用していないという。創始者の一人、マギー・フレールジャン・テタンジェとCEOのロドルフ・フレールジャン・テタンジェに話を訊いた。 ノンアルコールスパークリングワインを作ったきっかけはマギーの妊娠だったという。「2019年に妊娠し、アルコールが飲めなくなり、家族や友人との食事を楽しむことができなくなりました。パーティも参加できないし、社会から断絶されたかのような感覚がありました。あるとき、友人でモデルとして活動していたコンスタンスとの会話の中で皆で同じテーブルを囲み、同じ時間を共有できるおいしい飲み物をつくろうと盛り上がったんです」とマギーは言う。 とはいえ、うまいノンアルコールスパークリングワインの開発は困難を極めた。商品開発では、マギーの夫でシャンパーニュやコニャック造りの経験豊富なロドルフ・フレールジャン・テタンジェが参画。「ノンアルコールワインを作るにあたって、アルコールを抜いたらそれでいいというわけではありません。まずはワインの製造過程を見直さないといけない、というところからスタートしました」とロドルフが当時を振り返る。さらに、シャンパーニュメゾン「クリュッグ」の元醸造責任者、カール・エリーヌも加わる。 こうしてアルコールを抜いてもうまいワインの探求がはじまった。数多くの産地のブドウを試した結果、ラングドック地方のものに辿り着く。オーク樽で発酵させ、デアルコールを3段階にわけて蒸留し、理想の味に近づけていった。最終的にシャンパーニュと同じ、6気圧のガスが注入された。また、マギーとコンスタンスの健康志向が反映され、「オーガニック」「二酸化硫黄無添加」「糖分はできるだけ少なく」「ビーガン」にもこだわった。 現在、「フレンチブルーム」のスパークリングワインはアラン・デュカスのレストラン、パリの「フォー・シーズンズ・ジョルジュ・サンク」、ロンドンの「ザ・サヴォイ」、ニューヨークの「ザ・カーライル」などのホテルやレストランで、相次いでオンリストされた。また、パリ「ボン・マルシェ」の食品館でも取り扱われるなど、その人気は急速に広がっている。実際、味わいも繊細でスタンダードキュヴェの「ル・ブラン」は柑橘系のフレッシュの香りにミネラリティが感じられ、新たに登場する「ラ・キュヴェ・ヴィンテージ 2022」は、シャンパーニュのようなブリオッシュ香をまとった熟成感のある味わいになっている。うまいノンアル、大歓迎である。 ■フレンチ・ブルーム https://jp.frenchbloom.com/
編集と文・岩田桂視（GQ）
