児童の手紙苗木に託す 東京芸大特任助手の布下翔碁さん 長野県安曇野市明北小で作品制作WS
長野県安曇野市の明北小学校で4日、将来の自分や家族などに向けて書いた手紙と一緒にカシワを植えるワークショップ(WS)が開かれた。東京芸術大学芸術未来研究場特任助手でアーティストの布下翔碁さん(33)=さいたま市=が安曇野で手掛ける作品「大地の郵便局」の一環。手紙の言葉や思いがカシワの苗木を育て、児童の思い出の場所になるよう願いを込めている。 全校児童約80人が参加した。手紙には水溶性の紙を使った。成長の早いカシワは古くから神聖な木とされ、同校の校章にもデザインされている。植えた苗木は児童の成長と希望の象徴にもなる。 体育館で手紙を書いた後、校庭の隅に掘られた穴を郵便ポストに見立て、手紙を入れてカシワを植えた。手紙には「けーきやさんになりたい」「ちきゅうおんだんかがすすまないでほしい」など、未来に対するそれぞれの思いを込めた。5年生の隠岐葵さんは家族の長寿などを願って手紙を書き「大人になって学校に来たときに大きく育っていてくれたら」と苗木の成長に思いを寄せていた。 布下さんは市と東京芸大の連携事業「アーティスト・イン・レジデンス」で一定期間滞在し、市民と交流しながら作品制作を進めている。5日は豊科東小学校で大地の郵便局のWSが行われる。穂高北穂高の安曇野髙橋節郎記念美術館には10月22日まで「大地の郵便局」のポストが設置されている。誰にも読まれることなく、植樹の際に埋められる。
市民タイムス