NASA、火星サンプルリターンの新計画を2024年末までに決定へ
米航空宇宙局(NASA)は火星の試料(サンプル)を地球に持ち帰る計画「Mars Sample Return(MSR)」の新アプローチを年末までに決定する予定であることを米国時間10月16日に発表した。 MSRは、火星で稼働している探査車(ローバー)「Perseverance」(パーサヴィアランス)が収集した火星の岩石を地球に持ち帰る計画だ。プロジェクトの複雑さや予算の高騰が問題となり、NASAは6月に代替となる回収手段の研究で7社を選定していた。 NASAは、2024年初めにコストやリスク、ミッションの複雑さを抑えながら2030年代に火星のサンプルを地球に回収する方法の設計、研究を依頼。集まった提案の数は合計12。これには、エンドツーエンドのミッションアーキテクチャ、火星軌道にサンプルを打ち上げるロケット、そして地球への帰還方法が含まれる。提案された12の案は「MSR戦略検討」(MSR Strategy Review:MSR-SR)と呼ばれるチームが検討する。 10月21日に開催された全米科学アカデミー宇宙研究委員会にNASAでMSR計画のディレクターを務めるJeff Gramling氏が登壇した。海外メディアのSpaceNewsによると、Gramling氏は「我々が求めているのは、2040年までにサンプルを地球に持ち帰る可能性が最も高く、可能であれば110億ドル(約1兆7000億円)未満で済むような計画だ」と述べている。
塚本直樹