声優グランプリ、巨人ファン貸切列車…開業60周年・東海道新幹線「成長」の歴史 「速さ」一辺倒から「楽しさ」「推し旅」追求へ
四半世紀ぶり個室の復活
さらに、2026年度にはグリーン車をグレードアップした個室サービスの導入をJR東海は計画している。100系以来、およそ四半世紀ぶりの個室の復活になる。 「時速285キロで走る通勤電車」とたとえてもよいくらい、堅実な輸送に特化してきた東海道新幹線だが、快適さや楽しさを追求する時代がやってきた。 私鉄のような沿線開発は新幹線の使命ではないが、駅のおかげで新しい街がほぼゼロから生まれた事例もある。新大阪と新横浜だ。 既存の大阪駅や横浜駅を通ると遠回りになることから作られた両駅だが、大阪市と横浜市、それぞれの重要な副都心に位置づけられている。新横浜には横浜アリーナや日産スタジアムが開業し、60年前は「こだま」しか停車しなかった駅は今では全列車が停車する。ビジネスホテルやオフィスが林立している新大阪は、地下鉄御堂筋線と北大阪急行を介して千里丘陵も近く、千里ニュータウンの開発も後押しした。 スピードだけでないインパクトをもたらした東海道新幹線。リニア中央新幹線が着工こそしているものの未だ開業時期も不透明なため、まだまだ日本の大動脈としての責務を担う日々が続く。 デイリー新潮編集部
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