能登半島地震から1年…小室瑛莉子が見た“道半ば”の復興 補助金“複雑な申請”と葛藤「商売として成り立つかどうか」
2024年の元日に、能登半島を襲った大地震。 震災から1年たった石川県輪島市を、「めざまし8」の小室瑛莉子キャスターが取材しました。 【画像】能登半島地震から1年も…復興への課題とは? 小室瑛莉子キャスター: ここが輪島朝市の火事があった場所ですね…何もなくなっている。 輪島市のシンボルだった朝市通り、地震による大規模な火災で200棟以上が焼失しました。 現在は建物の解体が進み一帯は更地に…。 しかし一方で、朝市通りから外れた場所では、地震で崩れ果て今でも解体を待つ建物が至る所に残されていました。 小室瑛莉子キャスター: こんな光景を普通見ないじゃないですか。今直面している方々の気持ちを思うと、本当に胸が苦しくなりました。 町の光景が一変したあの日から1年…、取材を通して見えてきたのは、1年たっても解決できない多くの“課題”でした。
家が壊れるも“準半壊”で支援届かず…
小室キャスターが出会ったのは、町野町に住む織戸将宏さん(45)。 織戸将宏さん: こんな感じに割れてしまって…。 小室キャスター: 2、3cmくらい隙間が空いてしまっていますよね。 妻と2人で住む築10年になる自宅の周囲には、亀裂や隙間ができ、室内も床の傾きや、扉の動きに影響が出るなどの多くの被害が出ていました。 被害判定は“準半壊”。なんとか生活はできるものの、住宅の被災に対する支援金の対象外で、今後の見通しが立たないといいます。 織戸将宏さん: なかなか支援を受けられない現状ではあるので、準半壊なので。 この家のローンも残っているので、思い切って離れることもできなかったですよね。
難解な補助金申請「末端まで行き届いていない」
補助金の申請に苦労する人もいました。 輪島市で食品用の包装資材などを扱う創業70年を超える三辻商店。 海産物の加工会社などへ資材などを搬入していましたが、地震の影響で倉庫は全壊。 事業のベースとなる場所が消えてしまいました。 三辻商店 三辻敬さん: 「三辻君ごめんな」って言って「輪島から離れるわ」って出て行った方もおりますので、寂しいし、商売として成り立つかどうかというところも少し不安はありますね。 それでも、生まれ育った輪島で事業を続けたい… その一心で再建を決意しましたが、ある課題があるといいます。 三辻商店 三辻敬さん: 商圏が狭まるというところで、どこまでのものが必要なのかというところを考えながら、もう少し時間はかかるかな。2年~3年、10年、それくらいはかかるのかなと思います。 街の賑わいの中心である観光名所なども大きな被害を受けましたが、なかなか復興が進んでいません。その原因とみられるのが「なりわい再建支援補助金」制度の複雑さです。 「なりわい再建支援補助金」とは、中小企業や 個人経営の店舗や工場の再建費用の4分の3を補助する制度で、最大15億円を補助してもらうことができますが、必要費用は一度全額立て替える必要があり、申請の条件も、現地再建が原則・申請後最低22年以内に廃業すると、補助金を返還しなければなりません。 三船商店も事業復活のために「なりわい再建支援補助金」を利用したいと考えていますが、申請のためには多くの書類が必要となり、特に頭を悩ませたのが「図面」でした。 三辻商店 三辻敬さん: これが地震で壊れたところ(倉庫)の図面になります。元々図面というものが存在していなかったものですから、つぶれて図面として起こせないものを、僕が間取りとかを説明して、工務店さんに作っていただいたと。 補助金を申請するには震災前、どのような施設が建っていたのか、詳細に図面などで提出する必要があるといいます。 三辻さんは地元の工務店に崩れた倉庫の間取りなどを伝え、図面にしてもらっていました。 三辻商店 三辻敬さん: 私の年代だと頑張れば(申請)できるかなと思うんですが、もう少し年配の方であったりとか、そういう方が果たしてこれを容易にできるのかなと。 実際に、再建支援補助金を申請したくてもできない企業や事業者は多く、輪島朝市だけで200棟以上が焼失している輪島市でも、2024年12月20日までに申請は34件、交付決定は21件にとどまっているといいます。 石川県「能登半島地震復旧・復興アドバイザリーボード」の一人で、災害復興の専門家・大阪公立大学大学院の菅野拓准教授は、今後の“復興に向けて必要なこと”についてこう話します。 菅野拓准教授: 国も相当に手厚くこの事業をやっているのは現実です。過去の災害と比べてもかなり運用は柔軟化しているんですが、それでもなかなか、ということだと思います。 地域の経済状況が全然変わってしまっているんですね、働き手もいなかったり買い手もいなかったりということなので。 他のアイデアを創出するとか、色々なつながりの中で仕事を新しい形で変えるとか、そういうことも同時に必要となってくるので、そういった人と人とのつながりである“関係人口”(※地域と多様に関わる人々)を意識するようなことをするのが、すごく大事になってくるのではないかと思います。 (「めざまし8」1月6日放送より)
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