3点目が幻に…本塁到達と三塁アウトどちらが先かの『タイムプレー』栗原の全力疾走と共に大切な紅林が稼ぐ“1秒”
◇渋谷真コラム・龍の背に乗って・侍ジャパン編 ◇18日 「ラグザス presents 第3回 プレミア12」 1次リーグ 日本11―3ドミニカ共和国(台湾・天母) ◆美脚炸裂…プレミア12、各国のチアリーダー【写真】 1次リーグの1位通過が決まっている日本と、敗退が決まっているドミニカ共和国。全勝は喜ばしいが、勝敗に意味はなかった。コンディションに不安のある選手は休養し、結果が出ていない選手は2次リーグに向けてきっかけをつかむ。そんな試合の気になるプレー。3回の佐藤の適時打が逆転ではなく同点打にとどまった走塁だ。 2死満塁、フルカウント。走者は自動スタートを切る。佐藤の打球はレフト前で弾んだ。三塁から森下がかえる。二走の栗原も悠々と生還…。のはずだったが、左翼・ミエセスは三塁に投げた。一走の紅林を狙ったのだ。タッチアウト。公認野球規則5・08の【注1】には、得点の記録を定めている。 第3アウトがフォースアウト以外のアウトで、そのプレイ中に他の選手が本塁に達した場合、審判員は(中略)本塁到達の方が第3アウトより早かったか否かを明示しなければならない。 要するに、紅林のタッチアウトと栗原の本塁到達、どちらが早かったか。これをタイムプレーと呼ぶ。中日には苦い記憶がある。昨季5月18日の阪神戦(バンテリンドームナゴヤ)。2死一、二塁からの左前打で同じことが起こった。その9日後には仙台でも…。こちらは得点と判定されたタイムプレーを、日本ハム・新庄監督がリクエストで無得点に覆した。 珍しいが、起こり得る。そんなタイムプレーを防ぐには、二塁走者は全力疾走を怠らず、ホームコーチ(主に次打者)も緩めずに来いと指示することが必要だ。しかし、左翼からは本塁より三塁の方が近い。三塁で刺されたら、多くは得点にならない。一塁走者は先の塁を狙うのは大切だが、アウトになると思ったら急ブレーキをかけてでも「1秒」を稼ぎ出すことはもっと大切だ。 失敗したら一度きりのチャレンジを井端監督が行使したが、判定は変わらず。「少しミスが目立ちました。2次リーグでは修正してやっていきたい」という言葉には幻の3点目も入っていたはずだ。タイムプレーとは油断なのだ。世界大会4連覇のため、かぶとの緒をグイと締める。それが侍の作法である。
中日スポーツ