便秘や下痢はどうして起こる? 過敏性腸症候群(IBS)を知る前におさえておきたい腸のしくみ
腹痛や下痢、便秘が頻繁に起こるので、電車に乗れば各駅で下車、試験や会議は何度も中座。食事後にすぐトイレに行きたくなるので、外食もできない……。そんな人は、「過敏性腸症候群(IBS)」かもしれません。よくわからない怖い病気というイメージを持つ人もいるでしょう。でも、原因をつきとめ、適切に対処すれば治せる病気です。 【漫画】刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由 そこで、この連載では、話題の新刊『過敏性腸症候群(IBS)くり返す腹痛・下痢・便秘から脱出するには』(水上健 著)のエッセンスを全8回にわたりご紹介。過敏性腸症候群(IBS)の特徴や治療法、日常生活で注意すべきことなどを詳しく解説します。 自身やまわりの人の症状を和らげながら、健康な体を取り戻していくためのヒントを見つけてください。今回は、腸のしくみと下痢や便秘のさまざまな原因についてみていきましょう。 『過敏性腸症候群(IBS)くり返す腹痛・下痢・便秘から脱出するには』 第2回 〈電車に乗れない、外食できない……。腹痛と下痢をくり返す「過敏性腸症候群(IBS)」を克服するヒント〉より続く
便秘と下痢には、大腸運動と便に残る水分が関係している
食べたものから栄養が吸収され、残りかすが便として排出されるまで、体内ではどのようなことが起きているのでしょうか。ここでは、おもに腸の運動と排便のしくみをみてみましょう。 まず、食べたものは小腸で栄養が消化吸収され、大腸でさらに栄養や水分などが吸収されて、便となります。小腸や大腸の運動は、食事や自律神経による調整、脳腸相関による影響など複数の要因で調整されています。 脳と腸は連携して動きます。起床時に頭が動きはじめると腸も動き出すので、起床後、朝食をとる前に排便がある人もいます。 便秘と下痢には、大腸の動きと便に残る水分量が関係しており、100ml以下で便秘、200ml以上で下痢になるとされています。また、大腸の動きが遅いと水分が吸収されて便がかたくなって便秘に、早くなると水分の吸収が不十分で下痢に傾きます。下図は、腸管の水分量(一日)の移動を表しています。