南ア金融システム、好材料重なり見通し改善=中銀報告
[ヨハネスブルク 28日 ロイター] - 南アフリカ準備銀行(中央銀行)は28日公表した半期に1度の金融安定報告で、5月の総選挙後に連立政権の樹立に成功したことや、停電の減少、中銀の追加利下げ観測など好材料が重なり、同国の金融システムの安定性は見通しが改善していると指摘した。 総選挙で与党・アフリカ民族会議(ANC)は30年ぶりに議席が過半数を割り込んだが、6月に連立政権が発足したことで投資家心理が大きく上向いた。通貨ランドは対ドルで堅調に推移し、新興市場国通貨としては今年に入って唯一上昇している。さらに過去数年間にわたって頻発していた停電も、この8カ月間発生していない。 また中銀は利下げサイクルを進めており、今月21日にも25ベーシスポイント(bp)追加利下げを決定。アナリストは来年以降も金融緩和が続くと予想している。 一方で報告は依然として多くのリスクが存在し、その多くは構造的だと分析。永続的なリスクとして低水準で格差が残るままの経済成長、気候変動が金融セクターに与える影響、システムにつきまとうサイバー事件の脅威などを挙げた。 中銀は金融セクターの長期的な安定性を強化するため、来年1月から同セクターに対して自己資本の1%積み増しを義務付ける。