「今、すごく楽しいです」 不登校からeスポーツを通じて身につけた社会性
2018年に高校では日本初のeスポーツコースを開講
そのeスポーツをいち早く教育の分野に取り入れたのが、通信制高校のルネサンス高校グループだ。2018年に高校では日本初となるeスポーツコースをルネサンス大阪高等学校で開講。以来、全国各地でeスポーツコースを設置し、多くの生徒が教育の一環としてeスポーツを学んでいる。 eスポーツを学ぶ高校生にとって「甲子園」とも呼べる大会が「STAGE:0」と「NASEF JAPAN全日本高校eスポーツ選手権」。それぞれ予選を勝ち抜いたチーム・選手が全国大会への出場権を手に入れるのだが、ルネサンス高校グループは全国大会の常連校。さらに言えば、これまで日本一の座も手にしてきた。 まだ競技人口が少ない頃から先輩たちが切り拓いてきた道に続こうというのが、高校1年生の井上珀斗くんだ。横浜キャンパスに週2回通う井上くんがプレイするのは「League of Legends」。LoL(ロル)と呼ばれる5対5のチームバトルで、各プレイヤーは試合前に選んだ「チャンピオン」と呼ばれるキャラクターを操作し、チームで協力しながら敵陣に設置された「ネクサス」の破壊を目指す。LoLを始めるきっかけは「ルネ中等部の時に先生に誘われて」。そこからLoLの世界にハマっていった。
5対5のチーム対決…大切なのは「チーム内のコール」
今、組んでいるチームは1年生が4人と2年生が1人。「なんとなく、そこにいた5人で組みました」と笑うが、チーム結成から5か月あまり。「誰かがいないとチームがまとまらない」と、今では大事な仲間となっている。 夏休みの間はチームの仲間とオンライン上で集合し、少なくとも10試合プレイしながら連携を強めた。1試合ごとにチーム内でフィードバックを重ね、「勝ったら褒め合ったり、何かミスったら笑い飛ばしたり。マイナス発言はしないようにしています」という。 野球であれば、左中間に飛んだフライを誰が捕球するのか、左翼と中堅で声を掛け合う。ボールを後ろにパスするラグビーであれば、選手同士が声を掛けながらパスする方向を決めてトライを狙う。それと同じように、LoLをプレイする上で最も大切であり、魅力的でもあるポイントは「チーム内のコール(声掛け)」だ。 「チームとして次に何をしようとか、今こうしてほしいとか、コールをたくさんするので、そこでみんなと仲良くなったり、まとまったりしていきます」 チーム内で井上くんは「集団戦のコールがいいって言われます。誰から狙おうとか、前に行くからここは頼んだとか、戦うとめっちゃ喋るらしいです。気付いたらめっちゃ良いこと言ってるみたいな。なんでだろう?」と話す顔は、少し照れくさそうだ。