冬瓜はトロトロの「参鶏湯(サムゲタン)風スープ」で大量消費!夏バテやむくみ解消も【沼津りえの季節の手仕事#21】
【作り方】
(1)冬瓜を切る 冬瓜はワタと種をスプーンで取り除き、食べやすい幅に切り分けてから、まな板の上に寝かせて皮をそぎ落とします。この時、少しだけ緑色を残すときれいな仕上がりに。皮をそいだら食べやすい大きさに切ってください。 「ワタは捨てずに甘辛く煮たり、みそ汁に入れたりしてもおいしいですよ。私は皮も浅漬けやかき揚げに使って、余すところなく使っています」 (2)長ねぎと玉ねぎを切る 長ねぎは3~4cmの長さに、玉ねぎは大きめのくし形切りにします。 「今回は長ねぎと玉ねぎ、Wの旨味を掛け合わせます」 (3)鶏肉の下処理をする 鶏もも肉と鶏手羽元の2種類を用意します。鶏もも肉は余分な脂や硬い部分を切り落とし、大きめのひと口大に切ります。 「今回は鶏もも肉と鶏手羽元の2種類を使います。骨付き肉を使うと旨味のあるだしがとれるので、鶏手羽元、鶏手羽先、鶏肉のぶつ切りなど何でもいいので、骨付きのものをミックスして使うのがおすすめ。鶏もも肉は初めに余分な脂などを取って掃除しておくと、濁りのないきれいなスープに。鶏手羽元は切り込みを入れておくと、火の通りがよくなり、だしが出やすくなります」 (4)鶏肉に下味をつける ポリ袋に下処理した鶏肉を入れ、薄切りにしたしょうが、粗挽き黒こしょう、塩を振り、全体に塩がなじむようによく揉み込み、冷蔵庫で30分以上置きます。 「今回のスープの味付けは、ここで入れる塩のみ! 肉と塩の割合は、”肉100gに対して塩1g”が目安なので、これを覚えておくといいですよ。今回、鶏肉は合わせて約750gでしたので、塩は大さじ1/2(約7.5g)入れます」 (5)鍋に材料を入れて煮る 大きめの鍋に鶏肉、皮をむいたにんにく、玉ねぎ、長ねぎ、冬瓜、水1Lを入れて強火にかけます。沸騰したら中火にして、ぐつぐつした状態で10分ほど煮てください。 (6)雑穀を入れて煮る 10分ほど煮たら一度火を止め、雑穀を入れ、再度中火にかけて5分ほど煮込みます。 「見てください。鶏肉をたっぷり入れていますが、アクが全然出ていません。食材は鍋に入れるだけで、余計に触らなければアクはほとんど出ないんですよ。これで美しい黄金色のスープに仕上がります。雑穀は米と一緒に炊飯する市販のものを使用すると便利です」 (7)バスタオルで包んで保温調理する 5分経ったら火を止めてふたをし、厚手のバスタオルで鍋ごと包み、このまま常温で30分置きましょう。 「火にかけて煮込み続けると食材が煮崩れしてしまうので、このようにバスタオルで包んで保温状態をキープしながら加熱調理すると煮崩れせず、温度が下がる時に冬瓜に旨味がグッと染み込んでよりおいしく仕上がります。 あくまでも保温調理中なので、30分を守ってくださいね。外出してそのまま放ったらかしで何時間も常温に置き続けてしまうと、料理が傷む原因になります。これはおばあちゃんの知恵的な方法で、火を使わずに調理できて最高なんです。これでおでんも極上に仕上がりますよ」 (8)できあがり! 30分経ってタオルを外し、鍋を触ってみると、まだ熱々でびっくり! 冷蔵で3~4日持つので、たっぷり作っても安心です。冷やすと鶏肉のゼラチンがプルプルになるので、温め直して食べてください。食べる分だけ温め直すのが長持ちの秘訣です。 ふたを開けると、黄金色のスープの中に透き通った冬瓜が顔を出しました。全然煮崩れもしておらず、角が凛と残っています。 まずスープを口に運ぶと、鶏肉と野菜の旨味が溶け出た滋味深い味わい。あっさりした塩加減がほどよく、スルスルッと体に染み込んでいきます。塩だけでこんなに奥深い味わいになるなんて。自然な味なので、疲れている時でもいくらでも飲めそうです。 スープをたっぷり吸ったトロトロの冬瓜を噛み締めるとじゅわっと旨味が溢れ出し、これこそ冬瓜の醍醐味。にんにくやしょうがの利いた参鶏湯風のスープとこんなに相性がいいなんて感動ものです。美味なだしをたっぷり出していい仕事をしてくれた鶏手羽元は、ほろほろっと骨から身が外れるやわらかさ。冬瓜だけ煮物にすると食べ応えに欠けますが、これならボリュームも満点ですね。 「まずはそのまま楽しんで、お好みで粗塩やゆずこしょう、ラー油などを加えて味変するのもおすすめです。そうめんを入れてにゅうめんにしたり、ごはんを入れておじやにしたり、お餅を入れてもおいしいですよ!」 参鶏湯というと作るのが面倒な印象がありますが、食材を切って煮込むだけであとは鍋にお任せ。私は普段、参鶏湯風のスープを作ると、煮込みすぎてとろみが出てしまうのですが、この方法でバスタオルを巻いて作ってみたらサラサラの澄んだスープに感動! 冬瓜をたっぷり消費できて、疲れた残暑の定番になりそうです。ぜひ、夏の終わりに試してみてください。 取材・文/岸綾香