長野久義の”恩返し”で広島に大敗して4位に転落した巨人の問題点とは…「リーダ不在」と「カープと対照的なチーム風土」
長野は2019年に広島からFAで巨人に移籍した丸の人的補償で広島へ移籍した。当時は「交換トレード」との声も飛んだが、レギュラー固定には至らず、今季は、代打要員として開幕を迎え、31試合に出場し打率.167、0本塁打、7打点と低迷。「調子が上がらないのでファームでしっかり打席に立ってくれ」(佐々岡監督)との理由で6月28日に2軍での再調整を命じられた。 長野はファームで打率.609と結果を残し12日に再登録。「若い選手達と一緒に泥んこになりながら、どんどん走ってバットを振って帰ってきました」。前日も、延長11回に代打で四球を選んで打線をつなぎ、磯村の満塁弾を呼び込み、この日のスタメンチャンスをつかんだ。 巨人の1軍戦略コーチ、打撃コーチ時代に長野を知る現・新潟アルビレックスBC監督の橋上秀樹氏は、「巨人時代からスロースターター。体が動く夏場になって打つ夏男だった。彼のバロメーターはセンターから右への打球。今日の満塁弾を見たとき、全盛期を彷彿させるバットの出方に感じた」という。 佐々岡監督も「センターへの大きな打球を久々に見た」と称えていた。 その一方で橋上氏は「巨人は深刻な状態だ」と指摘した。 「投手陣が先発、中継ぎと、あそこまで崩れるとゲームにならない。ベンチも1点ではなく2点を取りにいく野球を強いられるので、悪循環となり、不振の打線も戦略を立てにくい状況になる。そして何より坂本の不在が響いている。チームに覇気を与えるリーダーがいない。そこには巨人の体質の問題が見え隠れしている。広島とは対照的だった」 広島との対照的は問題とは? 橋上氏が、こう続ける。 「巨人は、やはりFAやトレードで来た“外様の選手”に冷たいというチームカラーがある。私も巨人にいたときも、そんな空気は感じていた。もちろん首脳陣や迎え入れる周囲の選手に、そんな意識はないのだろうが、伝統の重みがそうさせるのか、それがプレッシャーに代わり、リーダーとしてチームを引っ張っていくことが難しいという環境がある。だから坂本が離脱して、本来ならばチームをまとめていかねばならない丸や中田が結果を伴うリーダー役にはなりにくい。こういう苦しい状況にこそ、そういう存在が必要なのだが…。一方の広島は、巨人とは対照的なチームカラー。アットホームで外国人や“外様の選手”をうまくチームに溶け込ませ活躍しやすい環境を作っている。長野にしてもメジャーから帰ってきた秋山にしても、“よく来てくれた”という迎え方をされて、プレッシャーどころか、そこを意気に感じてチームに貢献している。その差の部分が如実に出たゲームに思えた」