【エリザベス女王杯 われかく戦う】シンリョクカ・木幡初也騎手「恩返しは何回あってもいい」
今週はエリザベス女王杯が京都競馬場で行われる。2歳時に阪神JF2着の実績があるシンリョクカが、9月の新潟記念で2勝目を挙げた。素質馬の復活の一助を担ったのが木幡初也騎手(29)=美・竹内=だ。2走前の福島牝馬Sでは、落馬して右腕の粉砕骨折の重傷を負ったが、そこからの重賞初V。苦難を乗り越えてGⅠに挑む意気込みを聞いた。(聞き手・板津雄志) 【写真】デビュー11年目の木幡初也騎手。3度目のGI騎乗に力が入っている ──福島牝馬Sでの落馬を乗り越え、新潟大賞典で人馬ともに重賞初制覇 「タイトルを取らせてあげられて良かった。ようやくシンリョクカが1勝馬から重賞勝ち馬になることができました」 ──2番手から抜け出し、後続の猛追をしのいだ 「(逃げたアリスヴェリテから)5、6馬身離れたところでリラックスして走れたし、先頭に立つまで追い出しを待つというシチュエーションを作れた。イメージ通りでしたね」 ──オーナー、調教師も初の重賞タイトル 「正直(福島牝馬Sでの落馬で)乗り替わりは覚悟していました。もう乗れなくて当たり前だと。でも、オーナーは入院先までお見舞いに来て『次も乗ってほしい。新潟記念に乗ってくれないか』と言ってくださった。リハビリを頑張る原動力になりました」 ──落馬で右尺骨粉砕骨折の重傷。プレートとボルトで固定した 「本来なら全治4~6カ月くらいのところを約2カ月で復帰。病院以外でも、自分なりに早く復帰するためにはどうすればいいか考えてリハビリに取り組みました」 ──シンリョクカとのコンビは最初の阪神JF2着から今回で7戦目 「2歳時から追い切りで抜群に動いていて、阪神JFの2着にも驚きはなかったです。僕の中ではタフな馬場でも狭いスペースでも屈することなく走れるイメージ。スタートの速さを含め自在性を生かすため、再びコンビを組んだ去年のエリザベス女王杯からは前めで踏ん張る形の方がいいと考えて乗ってきました。走りのバランスも良くなり、力のベクトルを今までより真っすぐ前に向けられるようになった。中身が入って安定感が出てきましたね」 ──1年前の9着から成長した姿を見せたい