阪神・岡田前監督が発した「強いタイガースの始まりの年」の舞台裏で何があったのか DVD発売中
【球界ここだけの話】阪神・藤川新監督のもと、高知・安芸の秋季キャンプが1日にスタートした。1軍経験の少ない選手はもちろん必死。中野や佐藤輝ら、主力にとっては名将の思いに応えられず、苦悩と葛藤を糧にレベルアップを目指す時間にもなる。 【写真】ベンチで談笑する阪神・岡田彰布前監督と藤川球児新監督 「強いタイガースの、始まりの年だ」 2024年1月31日。沖縄県内のチーム宿舎でナインを鼓舞していたのは岡田前監督だった。連覇を目指し、シーズン終盤は首位巨人を猛追したが、74勝63敗6分けの2位に終わった。クライマックスシリーズもファーストステージで敗退して岡田阪神の挑戦は幕を閉じた。 先に発売され、予約受け付け中の阪神タイガースオフィシャルDVD「TIGERS BASEBALL 2024 連覇に挑んだ男たち~苦悩と葛藤のシーズン~」には、シーズンの舞台裏の様子が生々しく記録されている。 例えば、6月4日に岡田前監督が不振の大山の2軍落ちを決断。その翌日、主砲の姿は鳴尾浜にあった。5日午前7時半。大山は黙々と走り込みを行っていた。再起にかける思いは、映像からも伝わってくるだろう。球団の歴代監督1位の552勝を挙げた知将も、何とかしなければとグラウンドの外でも戦っていた。野手陣を集め、直々に打撃指導を行い、得点力アップへの打開策を探していた。 球団の公式映像を撮影し、DVD製作を行った担当者は、「苦悩と葛藤」というタイトルに込めた思いを明かした。 「昨季は岡田監督が『普通の野球』というテーマを掲げ、優勝しました。今季も『普通にやればいい』といわれて、機能できない難しさに選手が葛藤しました。それなら、自分がどうすれば勝利に貢献できるかを考えて、努力していた部分が苦悩と感じています。ファンの方たちと同様に、選手も悔しかったと思います。いい部分だけを切り取らず、〝来季につながる苦悩〟を伝えたかった」 岡田野球の継承を藤川新監督は行いつつ、自らの色も出しながらチームを強化していく。セ・リーグ優勝を奪回するためのヒントが、約120分に凝縮された2024年シーズンに詰まっている。(新里公章)