主演が降板も「完璧な結末」を約束できる...人気西部ドラマ『イエローストーン』は波乱の最終章へ
音楽で表現できる幸せ
曲作りでは「どんな分野のアーティストも同じだろうが、僕も自分の経験や人生にインスパイアされている」と、グライムスは語る。 「幸運なことに僕の経験はとても幅広くて、たくさんの異なる文化や社会構造、経済構造にまたがっている。世界中を旅して、さまざまな異なる役を演じて、さまざまな土地で暮らしてきた。その全てが自分の引き出しに入っている。こんなに面白い人生を送ることができて、それを歌で語ることができるのはとても幸せだ」 エンターテインメント業界のデータ会社ルミネイトによると、カントリーミュージックはアメリカのストリーミング配信で最も急成長しているジャンルの1つだ。オンデマンドのオーディオストリーミングの再生回数は23年に200億回を超え、前年比で23.7%増えている。 今年は特にジャンル全体が勢いづいている。ビヨンセがカントリーのアルバム『カウボーイ・カーター』をリリース。 TikTokでカントリーのコンテンツがいくつもバズり、ノア・カーン、『イエローストーン』で俳優デビューし、楽曲も提供しているレイニー・ウィルソン、ザック・ブライアンなど、カントリーやフォークのアーティストがチャートを席巻している。
人生の1章が終わって
「カントリーミュージックは常に歌が中心にあって、人間が歌詞を書き、楽器を演奏する。(アメリカのルーツ音楽である)アメリカーナとは何なのかというシンプルな本質に立ち返っている。今の時代、人々はそれを聴きたくてたまらないのだろう。しばらく経験できなかったから」と、グライムスは続ける。 「カントリーのいいところは、感情の動きに身を委ねられることだ。悲しみや喜び、家族への思いに浸ることができる。抽象的な表現ではなく、人間の経験を歌い、人生の現実を歌っている」 『イエローストーン』の終了が引き起こした感情に寄り添うため、グライムスにはカントリーミュージックが必要なのかもしれない。別れは決して簡単なことではなかった。 「撮影は1カ月以上前に終わったけれど、今もまだ、全てを自分の中で消化している最中。人生の1章が終わったことをとても重く、とても大きく感じる瞬間がある。僕の人生の大きな一部だったから」 17年から7年間、この役を演じてきたグライムスにとって、共演者やクルーは今や1つの家族のようなもの。「これからも僕の人生に存在し続ける人もいるだろうし、時々会ったりもするだろう」と彼は語る。 「でも、何よりも良かったのは、みんなで心を一つにしてつくり上げてきたことだ。とても素晴らしいところにいることができた。本当に特別なプロジェクトだった。今後の人生で、これを超えるものはないだろう」 最後に彼は、自分が演じたケイシーへの思いを語った。 「この数年、ケイシーに本気で恋をしていた。俳優として、役には愛を持って臨みたい。その人物を尊敬して、魅力を十分に引き出したい。彼に対してもそんなふうにやってきた。彼は僕よりはるかに素晴らしい人間だ。本当に寂しくなる」
ビリー・シュワブ・ダン(エンターテインメント担当)