過去に2年ほど、国民年金を「全額免除」されていました。追納すると年金はどのくらい増えますか? その分「貯金」しておいたほうが得なのでしょうか?
国民年金保険料の納付免除を受けた期間があると、将来受け取る年金額が減少します。しかし、後から保険料を納付(追納)すれば、年金額を減らさずに済むことをご存じですか? この記事では、国民年金保険料の申請免除を受けた場合について、将来の年金額、追納した場合の保険料の額、追納のメリットなどについて解説します。
国民年金保険料の免除を受けると
経済的な事情などで保険料を納められなくなったとき、国民年金保険料の免除制度が利用できます。免除を受けると、その後どうなるのでしょうか。 ■免除期間があると年金額は減少するけれど、未納扱いにはならない 国民年金保険料の免除を受けると、将来の老齢基礎年金額が減少します。しかし減少するとはいえ、免除期間が全く老齢年金額に反映されないわけではありません。 老齢基礎年金の額は、20歳から60歳までの40年間に資格期間10年以上を満たした上で、保険料を納付した期間などがどのくらいあるかで決まります。もし保険料の未納期間があれば、その期間は全く年金額にカウントされません。しかし保険料の「免除」は「未納」とは違い、免除期間の一部が年金額に反映されるのです。 免除には、保険料を全く納めない全額免除、保険料の一部を納める4分の1・半額・4分の3免除がありますが、全額免除を受けて保険料を全く納付しなかった期間でも、図表1のとおり2分の1(8分の4)の期間分が、将来の年金額に反映されます。 なお、年金額への反映があるのは「免除」の期間だけで、学生納付特例や保険料納付猶予を受けた期間は、年金額に反映されません。 図表1 令和5年4月からの年金額計算方法
日本年金機構 知っていますか?国民年金保険料の免除制度 「たとえ一部でも免除期間が年金額に反映されるなら、追納するなんて損じゃないの? 」とも思えます。しかし、追納しないと年金額が減ったままなのも事実なのです。
免除を受けた国民年金保険料は追納すべき?
保険料の追納は義務ではなく、そのままにしておいても罰則はありません。追納するかどうかは、その人の自由です。ただ、追納の有無で、将来の年金額が変わってきます。 ■追納した場合としない場合の年金額は 2023年度の老齢基礎年金の満額は79万5000円(2023年で68歳以上の場合は79万2600円)です。全額免除を2年間受けた人は77万5125円で、満額との差額が1万9875円になります。この差額は生涯続きますが、免除分を全て追納すれば、年金額は満額に戻ります。 ■追納の保険料はいくら? では追納には、いくらかかるでしょうか。追納分の保険料は、原則として免除を受けた額です。ただし免除から3年度以上経過しているときは、当時の保険料に追納加算額が上乗せされます。なお追納できるのは、免除を受けてから10年以内とされています。 図表2 2023年度の国民年金保険料追納額