走行距離41万km超えの実力は? 「9年落ちの」テスラ・モデルS 90Dへ試乗 印象的な耐久性!
モデルSの登場は画期的な瞬間といえた
「テスラ・モデルSの登場は、いわば画期的な瞬間といえます」。遡ること2013年、AUTOCARはポルシェ・パナメーラとアストン マーティン・ラピードの3台で比較試乗。モデルSを勝者に選んだ。 【写真】印象的な耐久性 「9年落ちの」モデルS 90D 現行のテスラたち ロードスターも (148枚) 翌2014年に、英国で販売がスタート。ロータス・エリーゼの技術を利用した、テスラ・ロードスターにも英国編集部は感銘を受けていたが、新生バッテリーEVメーカーの本格的な展開は、このサルーンから始まった。 10年前、日産リーフやBMW i3などが、電気自動車の間口を広げつつあった。しかし、殆どのモデルの航続距離が200km程度だった時代に、テスラは400km以上の距離を主張した。ガラケーの世界に突如現れた、アイフォーンのような存在だった。 それでは、グレートブリテン島で10年を過ごしたモデルSの実力とは。正確には1年短い、9年落ちの90Dを準備し、ロードトリップへ出てみよう。テスラの急速充電器、スーパーチャージャーを目的地に。 スタート地点は、英国最新のスーパーチャージャー・ハブ。グレートブリテン島南西部の、デヴォン州エクセターから。航続距離の変化や運転体験を確かめるため、駆動用バッテリーを100%まで充電する。 ロンドン西部に位置する、ウェストフィールド・ショッピングセンターの駐車場がゴール。ここは2013年に、英国初のスーパーチャージャーをテスラが準備した場所だ。
走行距離は41万8000km超え その実力は?
今回の車両は、かなり過酷に乗られてきた1台。英国のテスラが最初のオーナーで、スーパーチャージャーの敷設・点検などのため、技術者の移動の足になってきた。走行距離は、なんと41万8000km超え。ボディやインテリアには、無数の傷がある。 初期型で、最新のスーパーチャージャーの充電ソケットには対応していない。CCSケーブルをつなぐには、変換ソケットが必要になる。充電開始時の残量は44%。1時間かからず、フル充電になった。 電気自動車の駆動用バッテリーは、経年劣化することをご存知だろう。このモデルSの場合、85kWhのユニットが載っているが、利用可能なのは84%の71kWhへ減っていた。フル充電時にタッチモニターへ表示された、予測の航続距離は370kmだった。 ショッピングセンターまでは、約290km。問題なく辿り着けるだろう。到着時に、20%の電気が残る計算でもある。 モデルSを東へ向け、国道A303号線へ。キャビンはまだカシっと組まれた印象だが、タクシーのような妙な匂いが僅かに漂う。ソフトウエアは、無線でアップデート済み。この技術も、テスラが他社へ先行して導入したものだった。 9年前の90Dでも、0-100km/h加速は4.0秒と俊足だったが、今日はそれを求めてはいない。ドライブモードは、チル・モード。エアコンとラジオはオン。例によって小雨が降っている。一般的な利用環境に近いだろう。 沢山の手で握られてきたステアリングホイールは、ピカピカ。時折顔を出す、太陽の光を反射する。至って安楽に、ゴールまでの距離が縮んでいく。