走行距離41万km超えの実力は? 「9年落ちの」テスラ・モデルS 90Dへ試乗 印象的な耐久性!
旧式のパソコンに触れているような感じ
アスファルトが古い区間では、予測の航続距離が短くなる。到着時の駆動用バッテリーの残量は、一時的に11%になった。だが、更に進むと20%へ回復する。 A303号線は、起伏が多い。電費には良くないが、雄大な自然の景色を楽しめる。時折、ブリストル海峡がチラ見えする。 新石器時代の遺跡、ストーンヘンジへ近づくと道路は渋滞。ここは、英国で最も観光客の多い場所の1つだ。混雑を避けつつ、写真撮影で脇道へそれる。16kmほど遠回りした結果、目的地までの行程は305kmへ伸びてしまった。とはいえ、まだ大丈夫なはず。 ショッピングセンターまでの道沿いには、スーパーチャージャー以外の急速充電器も沢山ある。ギリギリまで試すつもりはない。 フレームレスのサイドウインドウは、ドアの開閉時に僅かに上下するのだが、稀にドアを閉めても完全に戻らないことがある。ボディへ埋まったドアノブは、キーフォブを2回押すと飛び出る。どこか、旧式のパソコンに触れているような感じがする。 高速道路のM3号線へ。ロンドンが近づくほど交通量が増えていく。すでに擦り傷だらけのモデルSだから、普段より緊張感は少ないかもしれない。 静止状態からの発進加速は圧倒的。乗り心地は滑らか。ゼロエミッション・ゾーンにも構わず入っていける。テスラ・モデル3より、特別感もある。ロンドンの中心部に、ピッタリのサルーンだ。
航続距離はまだ320km以上 印象的な耐久性
市街地に入ると、電費が向上。到着時のバッテリー残量が増え始める。モデルSは順調にシェパーズ・ブッシュ・エリアの道を進み、ショッピングセンターの駐車場へ滑り込んだ。9年落ちのテスラへ抱いた自信は、間違いではなかった。 ロゴが赤く光る、急速充電器へモデルSを停める。特別な会員制クラブの看板のようだ。このスーパーチャージャー・ハブは、テスラ車専用だという。グレートブリテン島にある、ここ以外の76か所とは違って。 果たして、309km走って使用した電気は58kWhで、電費の平均は5.3km/kWh。駆動用バッテリーの残量は、46kmぶんの11%だった。1.6km当たりの電気代は、0.20ポンド(約39円)になる。 真夏でも、320km以上は無充電で走れるはず。真冬には270km程度へ減る可能性が高いが、現代の水準でも悪い数字ではない。テスラなら、急速充電器を利用できる。走行距離を踏まえると、モデルSの印象的な耐久性を物語るロードトリップになった。 やはり、モデルSの登場は画期的な瞬間だったのだと思う。直近の10年間で、世界を変えた自動車ブランドは?と聞かれたら、今の筆者はテスラと答えるだろう。改めて、この電動サルーンの誕生をお祝いしたい気持ちになった。
テスラ・モデルS 90D(2015年式/英国仕様)のスペック
英国価格:5万280ポンド(2015年時)/1万4000ポンド(約273万円)前後 全長:4980mm 全幅:1960mm 全高:1440mm 最高速度:249km/h 0-100km/h加速:4.0秒 航続距離:426km 電費:-km/kWh CO2排出量:- 車両重量:1961-2250kg パワートレイン:ツイン非同期モーター 駆動用バッテリー:85kWh(新車時)/71kWh(試乗車) 急速充電能力:-kW 最高出力:423ps(システム総合) 最大トルク:67.2kg-m(システム総合) ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)
ヴィッキー・パロット(執筆) ジョン・ブラッドショー(撮影) 中嶋健治(翻訳)