握りのセットが2,800円から! 「すし宗達」の創業者が自ら握る魅惑の町寿司、初台に現る
例えば、思うようにさばけず、売れ残ってしまっていた魚介を一手に引き受けたり、コロナで消費が冷え切っていた時でも、マグロを買い続けたりと、“困った時は相身互い”の精神が、仲買の方でも、新田さんのためなら一肌脱ごうという気にさせるのではないだろうか。あの「やま幸」も然りで、「最近は、いいマグロを回してくれるんですよ」と新田さん。そのマグロの握りが、赤身480円、中トロ580円、大トロ780円と3桁台で食べられると聞けば、食指が動く寿司通も多いのでは?
一皿で口福感たっぷり! おまかせ10貫には「やま幸」のマグロの握りも
写真の握りは、件の赤身と中トロが入ったおまかせ10貫。これにかんぴょう巻(取材日は仕入れの関係で鉄火巻)と卵焼きがついてなんと4,800円! 握りの大きさも町寿司サイズ。寿司を食べた!という充実感をしっかりと味わわせてくれるのも、握りラバーにはうれしい限りだ。米はあきたこまち。酢は横井醸造のコクのある赤酢の與兵衛と、旨みとキレが特徴の金将をブレンド。塩のみのシャープな寿司飯ではなく、少し砂糖も加えてマイルドに仕上げている。
新田さん曰く「空気を含んだふわりとした握りが好き」だそうで、寿司飯を握る際、握りの中央を軽く 押して心持ち空気を含ませるのが、新田流だ。人肌の酢飯を口に入れればふわりと解け、それでいて米一粒一粒の存在感もしっかり。厚すぎず薄すぎずの寿司ダネとのバランスも上々だ。そう、握りはこの均衡が大切なのだ。
もちろん、お好みも大歓迎。黒板メニューもショーケースもないゆえ、若干尻込みするかもしれないが、ご安心を。今日のおすすめやラインアップを新田さんに尋ねれば、気持ちよくかつ丁寧に教えてくれるはず。常時30種近くがそろう中から、好きな握りを好きなだけ、自分の好きなように食べる痛快さを堪能したい。
店内はカウンター6席に4人がけのテーブルが2卓。14人も入れば満員の小さな店だが、新田さん一人でこなすには充分だろう。
すし 乾山
住所 : 東京都新宿区西新宿3-13-14 TEL : 03-6383-3388 ※価格はすべて税込、席代(480円)別
撮影:大谷次郎 文:森脇慶子、食べログマガジン編集部