握りのセットが2,800円から! 「すし宗達」の創業者が自ら握る魅惑の町寿司、初台に現る
ネタケースも握りのラインアップを記した黒板メニューも無く、高級感漂う趣になったものの、おまかせのセットやコースは全店共通。握りのセットは2,800円(6貫と巻物1本)と4,800円(10貫と巻物1本)、つまみもついたコースは6,800円から。値段の手軽さも気軽な雰囲気も、加えて寿司ダネの質も少しも変わらない。否、アルバイトはいるものの、仕込みから握りまで徹頭徹尾新田さんが面倒を見る分、心なしかよりおいしく感じるのは、私の贔屓目だろうか。
豊富なつまみメニューも魅力の一つ! まずは「カブト塩焼」からスタート
のっけから握りでいくのもいいが、富山「富美菊酒造」の「羽根屋」や秋田「日の丸醸造」の「まんさくの花」、佐賀「天山酒造」の「七田」といった銘酒がせっかくそろっているのを見逃す手はない。まずは、つまみで一献楽しみたい。手渡されたメニューには、旬の「真鱈の白子」から定番の「毛ガニ甲羅詰め」「ニタリクジラの刺身」まで、ざっと17、18種ほどがラインアップされている。それらの中から、今回は「真ガキ」と「イカのゲソ焼」「カブト塩焼」をピックアップ。
この日の「カブト塩焼」は、季節柄、旬の寒鰤。石川県能登であがった12kg級の大物だ。そのカマゆえ、ボリュームも満点! ゆうに3人分はありそうな迫力で、880円はかなりのお値打ちだろう。が、カブト焼きは、寿司ダネ用に仕入れた魚のカマを使うため、その日その日で魚が変わる。「今日のお客様はラッキーですね」と新田さん。何が出るかは、その日のお楽しみというわけだ。
肉厚な「ゲソ焼」と旬の「真ガキ」の渋いチョイスに日本酒が止まらない
「ゲソ焼き」580円は肉厚なアオリイカのゲソ、「真ガキ」680円は、甘み豊かな陸前高田産と素材への気配りはさすが。決して安かろうそれなり、ではないところが同店を含め、新田さん率いる寿司グループの素晴らしいところだろう。それも、毎日欠かさず豊洲へと通い、仲買とのコミュニケーションを図る新田さんの熱意と気概の賜物だ。
デジタル化が進み、豊洲に行かずとも魚の仕入れには困らなくなった現代。でも、いや、だからこそ、日々顔を合わせることで生まれる思いもあるはず。「お互い人間ですからね。毎日通えば情も湧くでしょう(笑)。それに、直に行くと思わぬ掘り出しものがあったりするんですよ」。笑いながらそう語る新田さんだが、仲買との信頼関係はそれだけで築かれたわけではない。自分本位で買うのではなく、仲買の立場も考慮して仕入れる姿勢が、仲買の人たちの好感を得ているのだろう。