握りのセットが2,800円から! 「すし宗達」の創業者が自ら握る魅惑の町寿司、初台に現る
その後、2018年、初台に「すし おでん 芦舟」、 2021年、神泉に「すし光琳」、2023年7月には人形町に「すし 其一」と立て続けに新店をオープン。いずれの店も、お好みOKの明朗会計。1貫80円から一番高い寿司ダネでも980円と高級回転寿司顔負けの値段と味は、ミシュランガイドも認めた質の高さだ。
が、各店とも開店当初は新田さんが付け場に立っていたものの、しばらくすると後進に任せ、その姿を店で見ることはなくなっていたのも事実。仕入れは一手に担っているそうだが、もう現場には立たずに経営者としての道を進むのだろうか――と、若干心寂しく思っていたのだが、それは杞憂だった次第。去年11月20日、オープンした「すし 乾山」は、新田さん自ら仕込んで握るいわば旗艦店。「寿司を握りたくてうずうずしていたんです」の一言に新田さんの揺るぎない寿司愛が伝わってくる。
場所は「初台」。といっても、駅から歩いて約10分。パーク ハイアット 東京や都庁にもほど近く、いかにも地元密着型。開店早々足を運び、引き戸を開けると店内の趣がこれまでの3軒とやや異なっていた。まず、ガラスのショーケースがない。明朗会計を誇示する黒板メニューもこの店では見当たらない。いよいよ、新田さんも高級寿司店へと踏み切ったか?と思いきや「初志貫徹。僕はぶれませんよ」の心強い一言。
「普通の人がちょっと頑張れば、月に1回くらいは楽しめるささやかな贅沢。そんな町寿司をもっと増やしていきたい」。これが、新田さんの秘めたる野望?のようなのだ。今後は全国展開も視野に入れているそうで、来春には名古屋にも系列店が1軒オープンする予定だそうだ。
また、新田さんによれば「テーブル席もある『宗達』と違って『光琳』はカウンター席のみだし『其一』は商業施設への初出店。加えてランチ営業も初めての試みというように、新店舗は必ずそれまでの店とどこか異なる仕掛けを設けています」とのこと。なるほど、ここ「乾山」は、店の雰囲気そのものがこれまでと一変している。