ドリンク作家が作るモクテルとは?完全予約制バー『澱々(おりおり)』の全く新しい“ドリンク体験”に5感が研ぎ澄まされる
モクテルとは?残暑残る10月に合わせたオリジナルドリンク
最近では飲食店でもノンアルコールメニューを増やす店が増えてきました。その代表格がオリジナルドリンクであるモクテル。日本でも少しずつ認知度を上げているんだとか。 emmyさん「アルコールを使用しないからこそ、作り手も飲み手も素材の味わいに敏感になれる。それがモクテルの魅力です」 今回、取材時に頂いたのは煎茶がベースのオリジナルドリンクと、自家製餡蜜。ドリンクは口元に運ぶと柚子がふわりと香りとても優しい印象です。飲むと僅かにピリッとした炭酸の感覚があり、その後、今まで飲んだことのない複雑な味わいが口いっぱいに広がります。 emmyさん「ドリンクには柚子の他に、濁酒(どぶろく)のビネガー、茎の部分を使った煎茶、ライチの味をより濃厚にしたような味わいの木の実“竜眼(りゅうがん)”、松などが入っています。松は以前、知り合いが山に素材を探しに行くというので同行させてもらったときに着想を得ました」 心をほっとさせてくれるアロマのような唯一無二のドリンク。飲みやすくさっぱりと涼しげのある後味は、残暑が続きじれったさを感じていた晩秋にぴったりでした。
ひとつひとつ丁寧に。細部までこだわった添え菓子
オリジナルドリンクと合わせて出された自家製餡蜜もまた、舌鼓を打つ美味しさ。全てemmyさん自らソフトドリンクに合わせて微調整をしながら作っているんだとか。 emmyさん「寒天の上には餡子、紫芋餡、白ワインで煮込んだ杏子と無花果、白花豆の甘露煮をのせています。最初はそのまま食べていただき、お好みで別添えの薔薇のシロップをかけて召し上がってください」 濁りのない寒天はつるんとのど越しが良く、しっとりとした餡子や紫芋餡と一緒に食べればとても上品な味わいに。薔薇のシロップをかけることで華やかさが増し、ワインと杏子の芳醇でフルーティーな風味との相性抜群です。 emmyさん「『澱々』に訪れた人には非日常的な体験を楽しんでいただきたいです。ドリンクは液体なので食事に比べて視覚情報が限られています。その特性を活かすために室内を暗くして、できるだけ無駄な情報を削ぎ落すよう空間作りにもこだわりました。この瞬間を充実した時間と感じてもらえたら嬉しいです」 最後にemmyさんの今後の展望を聞くと、『澱々』の店頭ではもちろん、各地へ訪れ、ポップアップや宿泊施設でドリンクを提供するなど、多くの人とコラボレーションをしていきたいそう。食に関わる人だけでなく、様々なジャンルや地域と関わることで、その経験をドリンクに表現出来たらと語ってくれました。 About Shop 澱々 東京都文京区本郷4丁目30-5 公式インスタグラム:@oriori_kikuzaka
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