「老後2000万円問題」は本当なのか…?!今の70歳代はどのくらい貯蓄できているの?
老後の生活費は徐々に落ちていくもの?
豪遊せず、穏やかな老後を迎えれば、支出はそこまで膨らまないと感じるかもしれません。 一方、老後の生活費はどれくらいなのかを正確に知っている方も多くはありません。シニア世代は実際、どのくらいの生活費で暮らしているのでしょうか。 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要」によると、無職シニア夫婦世帯の家計収支は平均で次のとおりです。 【実収入:24万6237円】 ・社会保障給付:22万418円 ・その他:2万5819円 【可処分所得:21万4426円】 【非消費支出:3万1812円】 【消費支出:23万6696円】 ・食料:6万7776円 ・住居:1万5578円 ・光熱・水道:2万2611円 ・家具・家具用品:1万371円 ・被服及び履物:5003円 ・保健医療:1万5681円 ・交通・通信:2万8878円 ・教育:3円 ・教養・娯楽:2万1365円 ・その他:4万9430円 可処分所得ー消費支出=▲2万2270円 65歳以上の夫婦のみの無職世帯の場合、年金収入だけでは「毎月2万2270円の赤字」となることが分かりました。 贅沢をしなくとも、年を重ねるごとに医療費や介護費用は膨らむものです。持ち家世帯では、修繕費用などが発生することもあるでしょう。 不測の事態に備えて、どんぶり勘定ではなく、相応の資金を準備しておくと安心でしょう。
元気なうちに、やり残しがないように
ここまで70歳代世帯の貯蓄額と年金について見てきました。 目安となる2000万円の貯蓄ができている世帯は約42%でした。一方で、貯蓄額が100万円に満たない世帯も14万8896世帯と少なくないことが確認できます。 貯蓄がある世帯とない世帯とを比べると、生活スタイルは大きく異なるでしょう。そして、その生活が長く続く可能性を考えなければいけません。 厚生労働省の「健康寿命の令和元年値について」によると、2019(令和元)年の平均寿命は男性81.41歳、女性87.45歳。一方、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」の健康寿命は男性72.68歳、女性75.38歳となっています。 長生きが当たり前の時代になりましたが、「元気よく」長生きできる期間を考えると、充実した70歳代を送ることは非常に大切になってきます。 「お金がないばかりに、人生でやり残したことがある」なんてことがないように、老後の資産形成は現役世代の時から計画的に始めていきましょう。 国も老後の資産形成のために「貯蓄から投資」への動きを推し進めています。NISA制度が拡充されたこの機会にご自身の資産形成について考えてみてはいかがでしょうか。
参考資料
・厚生労働省「健康寿命の令和元年値について」 ・総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)詳細結果-(二人以上の世帯)」 ・厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
小西 泰主