【トラトラ株】 石破茂首相は、10月9日に衆院を解散し、15日公示・27日投開票の日程で衆院選を実施すると表明した。また、首相は2日、首相官邸で日銀の植田和男総裁との面会後、「個人的には現在、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」との認識を示した。 これを受け、外国為替市場では急速に円安・ドル高が進んだ。これはわが国輸出関連企業の業績および株価にポジティブに作用し、日経平均のサポート要因になったと考えている。 ただし、衆院選を控えて、国内の政治リスクが大きいため、上値は重そうだ。よって、当面の運用については高値での飛びつき買いを厳に慎み、丁寧な押し目買いを心がけたい。 まず、中村超硬（6166）は、各種触媒に用いられるSSZ―13型ゼオライトのナノサイズ化に成功したことが注目ポイント。同社は東京大学工学系研究科脇原研究室、大阪府立大学工学研究科中平研究室との共同開発に着手し、革新的プロセスにより低コストでのナノサイズ化を実現した。 ゼオライト本来の吸着などの機能を保持したまま、ナノサイズ化することにより機能性はさらにアップ。光透過性が必要な光学性用途や、微細な繊維への添加など、ナノサイズ化による新たな用途の展開が可能だという。現在、2025年度の量産開始に向けて顧客・エンドユーザーによる評価が継続中だ。 次に松尾電機（6969）は好業績が注目ポイント。25年3月期通期業績は、売上高は48億円（前期比14％増）、営業利益は5・1億円（同100・8％増）の見通し。目標数値達成に向けて、材料、エネルギーのコスト削減、付帯作業や外観作業の自動化を行う。 また、導電性高分子タンタルコンデンサ、回路保護素子の原価低減も進める。一方、チップタンタルコンデンサの値上げを行い、賃上げ原資を確保する。さらに、回路保護素子の車載用新製品および導電性高分子タンタルコンデンサの新製品の開発を推進し、売上高の増加を図る方針だ。 そしてAiロボティクス（247A）は高成長が注目ポイント。25年3月期の業績は、売上高は108億円（前期比53％増）、営業利益は17・51億円（同39・3％増）の見通し。現在、同社の主たる事業であるD2Cブランド事業では、AI技術を用いた「SELL（セル）」の活用により、他社との差別化を推進している。

また今後は、新ブランドや新商品の開発を進めるとともに、中長期的にはグローバルマーケットへの展開も模索している。そのため、将来の成長機会は十分に見込まれると、会社側は考えている。　（株式会社カブ知恵　代表取締役・藤井英敏）