どうして園児に野球教室? 元プロ野球選手・宮本慎也さんが始めた試み
夏の到来を告げる全国高等学校野球選手権大会の予選大会が、各都道府県で始まっています。毎夏、盛り上がる夏の甲子園を見ていると、日本は野球が盛んな国だとの認識を強くします。実際、イチロー選手や田中将大選手をはじめとして、たくさんのスーパースターがメジャーリーグといった大舞台で活躍しています。ところが、時代が変わって野球を取り巻く環境も変化しつつあります。子供たちが好きなスポーツは、野球からサッカーに替わっているのです。 そうした野球離れの風潮に危機感を抱いているのが、東京ヤクルトスワローズの元選手・宮本慎也さんです。宮本さんは本年度から、品川区の保育園・幼稚園を回って、野球教室を開いています。どうして小さな園児たちに、野球を教えようと考えたのでしょうか?
公園でボール遊び禁止 野球に触れる機会がない
20年前まで、男の子が最初に覚えるスポーツは、なんと言っても野球でした。子供の頃、家の前や近所の公園で父親とキャッチボールをしたという思い出のある人も多いのではないでしょうか?しかし、近頃は、そうした光景も見られなくなりました。 「最近、公園でもボール遊びが禁止されるようになりました。また、野球専用グラウンドでも、近所迷惑になるという理由で早朝に声を出して練習ができないところもあります。そうした環境から、子供たちの野球離れが進んでいると感じました。そこで、小さい頃から野球に触れる機会をつくれないかと考えたのです」と宮本さんは話します。 宮本さんは、アテネ・北京の両五輪で日本代表チームのキャプテンを務め、2014(平成26)年に現役を引退。現在はプロ野球解説者として活躍しながら、これまでも少年少女に指導をする野球教室を頻繁に行ってきました。宮本さんによると、野球の人気が落ちている一因には、用具がたくさん必要という理由もあります。サッカーはボールひとつあればプレーできますが、野球はボールのほかにもバットやグローブ、ベースなどの用具が必要になります。