大谷翔平にちなんで「もっとエナジーをください!」五輪メダル有望の女子ブレイキン選手が伝えたいこと
「皆さん、もっと声援を、エナジーをください!私たちダンサーは、身も心も削って戦っています。みんなにもっと大きな声援を、よろしくお願いします!」 オリンピック新種目のブレイキン。今年の「日本一」を決める第5回全日本ブレイキン選手権で、決勝進出を果たしたAYANE(本名:半井彩弥)が、ステージから観客にこう語りかけた。座席で行儀よく観戦していたファンは拍手喝采。大きな歓声をあげていいんだとばかりに、にわかに賑やかに盛り上がるようになった。 昨年、日本で開催されたWBCの試合で大谷翔平が「まだまだ声援が足りないので、もっともっと大きな声援をください」とスタンドに呼びかけていたのが思い出された。見ると、AYANEは大谷が所属するロサンゼルス・ドジャースの青いキャップを被っている。後で尋ねたところ、「大谷選手が宿ってくれるようにと願いをこめた」という。 カルチャーから派生したブレイキン。AYANEは、オリンピックのおかげでスポーツとしても注目が集まっていることに感謝しながらも、それだけが最終目標ではないとばかりに、今後の目標についてこうも語る。 「最近すごく感じるようになったのは、勝つために踊るのではなく、自分のダンスを通して伝えたいことがあるということなんです。ブレイキンで自分を表現すること、人と違うことはすごく素敵なことだよっていうのを、どんどん発信していきたいなと。そのためには、もちろん勝たないとたくさん踊れないので、そういうことを伝えるために勝ちたいという感じなんです」 周りの空気を読んで、大人しくなりがちな日本人に足りないと言われる「表現力」や「個性」。 ブレイキンでは、磨き上げた技を披露する「技術」だけでなく、それらが大いに重視される。そのことを体現するようにAYANEはブレイキンの魅力を発信していきたいというのだ。 会場が大人しかったように、日本人が苦手とするような分野が“強さ”に直結するブレイキンで、日本には男女ともに世界の舞台で渡り合えるトップ選手が多いだけでなく、憧れた次世代が今も続々と育っているというのだから逆説的で興味深い。 見る側にとっては、きっと「推し活」もしやすい。もともと多種多様なフォーマットで露出があったが、近年はさまざまな大会やイベントが国内外で増え、より気軽に楽しめる機会も増えている。ブレイキンが持つ年齢も性別も国も超える魅力にハマる人は少なくない。