大谷翔平にちなんで「もっとエナジーをください!」五輪メダル有望の女子ブレイキン選手が伝えたいこと
40歳で「日本一」3連覇
オリンピックに話を戻すと、現在ブレイキンでオリンピック出場を決めた日本人選手は、世界ランキング1位のShigekix(本名:半井重幸) のみだが、女子はAYANEを決勝で下し、同大会3連覇を達成したAYUMI(本名:福島あゆみ)にも期待が高まっている。 AYUMIもブレイキンの魅力を体現する逸材だ。「身体は厳しい」としながらも「ダンスが大好き」と限界突破の結果を出し続けている40歳。これまでの経験と年月を武器に、雰囲気たっぷりに多彩な技を次々と繰り出し、無限の組み合わせとも思える引出しをスムーズに新しくみせ、圧巻の「日本一」に輝いている。 世界の舞台でさまざまなフォーマットを経験し、男子相手やチームでも戦ってきたAYUMIは、ブレイキンの奥深さと難しさを誰よりも知っているからか、世界ランキング4位で見据えるパリ五輪についても、三連覇した同大会についても同じように「どの大会も違うので、一つ一つ全力を尽くすだけです」と繰り返す。 「(ブレイキンは)本当に難しいので、(オリンピックへも)まったく行けるかわからないと思っています。もちろん(オリンピック予選シリーズには)全力を注いで頑張りたい。その先にオリンピックがあれば嬉しいなと思っています」と語るに留めている。 即興の音楽に合わせて、会場の雰囲気も、対戦相手も変わるブレイキン。今年の全日本選手権では、世界ランキング6位のISSIN(本名:菱川一心)が Shigekixを下して初優勝したように、上位のトップ選手が“強い”からと結果を出せるとは限らない。だからこそ、AYUMIの目標は常に「一戦ずつ」なのだろう。
もうひとりのメダル候補「世界女王」AMIにも注目!
なお、今年の全日本選手権にはコンディション調整のため出場しなかったが、昨年の同大会で準優勝だった25歳のAMI(本名:湯浅亜実)は、日本女子最上位の世界ランキング3位。昨年は、ブレイキン最大規模の世界大会『RedBull BC ONE』が、フランス・パリにあるローラン・ギャロス(テニス全仏オープンの会場)で開催されたが、ここで世界トップレベルのダンサーたちと戦い、日本人初となる2度目の優勝を果たしている。 2018年以来、再び「世界女王」となったAMIは、オリンピック出場枠への最有力候補であるだけでなく、メダル獲得の期待もShigekixと同様に高い。いずれにせよ、メダル候補がしのぎを削る、日本のブレイキン界。ぜひともその世界に注目してほしい。 取材・文/松山ようこ
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