進まぬ上下水道の耐震化「香川県0%」全国ワーストのナゼ…能登半島地震で国交省が緊急調査
次なる災厄への備えは、まだまだ十分ではないようだ。国交省は全国の水道管などを対象に耐震状況に関する緊急調査を実施。1日結果を公表した。災害時に拠点となる避難所や病院などの「重要施設」のうち、施設につながる管路の耐震化が上下水道とも完了していたのは、わずか14.6%にとどまる。 「南海トラフ地震臨時情報」初の発表…巨大地震の前兆はどうやって知る? 都道府県別では、東京が52.4%で最も高い一方で、ワーストの香川県はなんと0%。驚きの数字だ。 能登半島地震を受けた今回の調査。被災地では耐震化が進んでいなかったため、広範囲で上下水道に被害が出て、断水が発生。復旧にかなりの時間を要した。香川県は南海トラフ地震の想定震源域から近い。0%はありえない。なぜこんな結果になったのか。香川県・水資源対策課の担当者に聞いた。 「今回の調査はあくまで、上下水道の両方が耐震化されているかが重要視されています。上下水道の所管が国交省に一本化されたのは今年4月から。それまでは上水道は厚労省、下水道は国交省が所管。県も上下水道を別々の部署が担当しており、両方を一体として考えること自体があまり根付いていなかった。いざ調査をしてみて、今回の結果が明らかになったのです」
取水施設も2%だが…
今後は上下水道を同時進行で耐震化していくことが共有されたというが、もどかしい事情もある。 「上下水道を別々で数えれば、『重要施設』の耐震化率は水道管路が35%(全国平均39%)なのに対し、下水道管路の方は28%(全国平均51%)。耐震化が進んでいなくはないのですが、下水道がやや遅れている。限られた予算の中で老朽化や浸水被害の対策を優先し、耐震化まで手が回らなかった側面があります」(香川県下水道課) ちなみに香川県は、上水道の起点となる取水施設の耐震化率も2%にとどまる。こちらも全国ワーストだが、理由があるようだ。 「香川県の取水は、県が管理するダムや、水資源機構が管轄の『香川用水』といった水路が7割を占めます。しかし、今回の調査は地方公共団体が管理する施設しかカウントされませんでした。もし、これら全てを含めて計算すれば耐震化率は約6割になり、これは全国で5番目くらいの高水準です」(水資源対策課) それにしても、県内49の「重要施設」で、全ての上下水道の耐震化がすれ違っていたとは……。「たまたま」では済まされない。