潰れない会社が、借り入れを完済しない理由。(横須賀輝尚 経営コンサルタント)
■潰れない会社は、借り入れを完済しない
借り入れをしたからには、返さなければならない。そりゃそうです。しかし、潰れない会社の社長は、完済を目指しません。 「えっ 借金を踏み倒すの?」。いえいえ、そうではありません。完済を目指さず、「借り換え」を続けるのです。 借り換えとは何か。金利とか考慮せず単純に説明しますが、例えば500万円の借り入れがあったとします。毎月返済を続けて100万円返済をして、残りの返済額400万円。普通に考えれば、あと400万円を返済しなければなりません。しかし、ここで借り換えを行うとどうなるか。 借り換えを行う場合、例えば追加で1000万円の融資を受けます。このとき、残債の400万円を、新たに借りた1000万円で一度返済します。そうすると、残りは600万円。この600万円が新たな融資額となります。 借り換えによって、400万円が600万円に増えたわけです。この1000万円から400万円を返済し、新たに入ってきた600万円部分を業界では「真水(まみず)」と呼びます。その後は、この600万円の返済が始まるわけです。 これを繰り返していくとどうなるか。 返済実績が増していくので、借り入れできる金額も上がります。そして、複数の金融機関と取り引きがあれば、相乗効果的に借り入れ額が増えていくわけです。 こうやって借り換えを繰り返し、現預金を増やしていく。この理屈がわかっている社長は強い。いわば「借金バンザイ」なわけです。 横須賀輝尚 パワーコンテンツジャパン株式会社 代表取締役/特定行政書士
【プロフィール】
1979年、埼玉県行田市生まれ。専修大学法学部在学中に行政書士資格に合格。2003年、23歳で行政書士事務所を開設・独立。2007年、士業向けの経営スクール『経営天才塾』(現:LEGAL BACKS)をスタートさせ創設以来全国のべ2,000人以上が参加。著書に『プロが教える潰れる会社のシグナル』(さくら舎)、『会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業』(さくら舎)、『資格起業家になる! 成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方』(日本実業出版社)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、他多数。