潰れない会社が、借り入れを完済しない理由。(横須賀輝尚 経営コンサルタント)
■できれば三つ以上の金融機関と取り引きする
まずは日本政策金融公庫から始めるのがいいでしょう。日本政策金融公庫は政府系金融機関であるため、最も借りやすい。最初は公庫で借り入れの実績をつくる。そして、その次に信用金庫や信用組合、地方銀行などと取り引きを始めていきます。 金融機関との取り引きは、決して難しいものではありません。 まずは法人の口座をつくる。その口座を使う。そして、融資担当者を紹介してもらい、融資を希望している旨を伝える。 このとき、決算書や試算表を提出するのもいいでしょう。成績が良い会社は、当然返済も遅れない。そういう意味では、金融機関は「業績の良い会社にはどんどん貸したい」わけです。貸すのが仕事ですからね。 そして、日本政策金融公庫を含んで、できれば三つ以上の金融機関と取り引きをしたいところ。複数の金融機関から借りるのが正解です。 というと、「ひとつの金融機関から、多額の借り入れをするのではダメなのか?」のような意見があると思いますが、まずは最初から高額の融資は難しいということ。返済実績を積んでいかないと、優秀な業績を収めていても、そう簡単にいきません。 それに加えて、一度借りてしまえば、しばらくは同じ金融機関から借りることは原則として不可能です。1000万円借りて、翌月また1000万円借りて、なんていうのは現実的にはできないのです。ですから、借り入れ額を増やそうと考えたら、別の金融機関から借りる必要があります。 日本政策金融公庫から1000万円、信用金庫と地方銀行からそれぞれ1000万円。合計3000万円の資金調達に成功、という具合に借り入れ先が複数になり、また返済が滞ってなければ、その会社に対する評価は高まっていきます。 もちろん、業績がそれなりに堅調でないといけませんが、「他社でもきちんと返済している」というのは、金融機関にとって安心材料なのです。 潰れない会社というのは、このように複数の金融機関から借り入れを行い、場合によっては必要以上に現預金を保有しています。 ある会社などは、黒字決算で借り入れも豊富で、現預金が常に高水準で維持できている。経営も盤石です。でも、最近は金融機関から借りられないんだとか。なぜ、借りられないのかと聞いたら、「会社に十分過ぎる現預金があるので、貸す必要がない」って言われたそうです。ここまでくれば、安心だといえます。